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咳喘息

咳が止まらない…。

夜中に突然咳き込む、話すのも億劫になる、睡眠不足で日中の生活にも影響が出てくる。

これらの症状はただの風邪ではなく、「咳喘息」の可能性があります。

咳喘息はその名の通り、長期間にわたり持続する咳が主な症状の一種の喘息で、誤解や認知度の低さから、適切な診断・治療が受けられない場合が少なくありません。

しかし、患者様が抱える日々の苦痛を軽減するための手段が、もちろん存在します。

この記事では、咳喘息の症状や診断方法、そして適切な治療法を具体的に解説します。

また、日常生活で気をつけることや市販薬の利用、治療の持続性と重要性についても触れます。

さらに、咳喘息が通常の喘息に進行する可能性や、根本的な解決策があるのかなど、疑問や不安を感じている方々のための情報も提供します。

咳喘息は単なる咳ではなく、適切な理解と対処が求められる病気です。

この記事を通じて、皆様が咳喘息についての理解を深め、日々の生活をより快適にするための一助になれば幸いです。

 

 

咳喘息とはどのような病気か

咳喘息とはどのような病気か

咳喘息はどんな病気?

咳喘息とは、持続的な咳が主症状である一種の喘息です。

特に活動後夜間に咳が出ることが特徴です。

 

咳喘息は、世界保健機関(WHO)の定義によると、「気道の慢性的な炎症により、反復性の喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難を起こす疾患」で、その一種が咳喘息です。

日本では喘息患者様の10〜20%が咳喘息と推定されており、実際には未診断の方も多いと考えられています。

咳喘息は、適切な治療を受けることで症状は改善します。

 

 

普通の喘息と何が違うの?

咳喘息とは、咳を主症状とする喘息の一種で、通常の喘息と異なり、咳以外の喘息の典型的な症状、例えば呼吸困難や喘鳴(ぜんめい)がないか、あってもそれほど目立たないことが特徴です。

 

 

咳喘息の原因は?

咳喘息の原因は?

咳喘息の原因は気道の炎症

咳喘息の主な原因は、気道の炎症です。

特に、気道の粘膜に対する慢性的な炎症長期的な咳を引き起こします。

 

喘息の発症には複数の要素が関与しますが、その中心には気道の炎症があります。

炎症は気道の敏感さを高め、さまざまな刺激に対して過敏に反応するようになります。

これが、咳喘息の主な原因となります。

好酸球という炎症細胞が関与し、気道が狭まり、粘膜の腫れや粘液の過剰分泌を引き起こすことで、咳が主症状として現れます。

 

適切な治療により、この炎症はコントロール可能であり、咳の症状も改善することが期待できます。

 

 

咳喘息のきっかけになるもの

咳喘息の発症を引き起こす具体的なきっかけには、気管支に影響を及ぼすウィルス感染や、アレルギー物質環境因子などがあります。

 

咳喘息は、気道の炎症を起こすさまざまな要素によって引き起こされます。

感染症やアレルギー反応、寒さや乾燥した空気、タバコの煙などの刺激物により、気道の炎症が引き起こされ、それが咳喘息の症状を引き起こします。

また、ストレスや過労も咳喘息の症状を増悪させる可能性があります。

 

 

花粉症と咳喘息

花粉症は、咳喘息の発症や悪化の一因となることがあります。

特に花粉症の季節には、注意が必要です。

 

花粉症はアレルギー性の疾患で、花粉が体内に侵入すると、免疫系が反応して様々な症状を引き起こします。

その反応の一部が気道への影響で、気道が炎症を起こすことで、咳喘息の症状が現れることがあります。

このような関連性は、専門的な研究でも報告されています。

 

花粉症と咳喘息の両方に対する対策と治療が重要となります。

 

 

好酸球と咳の関連性は?

好酸球は咳喘息の発症と関連があり、その数が増えると咳の症状が悪化する可能性があります。

 

好酸球は、人体の免疫システムの一部を担っている白血球の一種であり、特にアレルギー反応に関与しています。

咳喘息もアレルギー性の疾患の一つであり、好酸球の数が増えると気道の炎症が引き起こされ、咳の症状が悪化します。

このことは、医学的な研究によって確認されています。

 

適切な診断と治療により、好酸球の数を管理し、咳喘息の症状を改善することが可能です。

 

 

咳喘息の症状

咳喘息の症状

咳喘息の主な症状

咳喘息の主な症状は、長期間にわたる咳、特に夜間や早朝に咳が悪化する運動や冷たい空気で咳が増加する、といった特徴があります。

 

咳喘息は、気道の炎症が主な原因となって引き起こされる疾患です。

そのため、気道が刺激を受けると反応して咳が出ます。

特に夜間や早朝に気道が乾燥しやすく、さらに運動や冷たい空気で気道が刺激を受けやすいため、これらの状況で咳が増えるとされています。

これらの特徴は、医学的な研究によっても確認されています。

 

これらの症状がある場合は、咳喘息の可能性がありますので、医療機関での診断が推奨されます。

 

 

こんな時は咳喘息を疑います

2週間以上続く咳夜間や早朝に咳が悪化し、運動や冷たい空気で咳が増す場合、咳喘息を疑うべきです。

 

咳喘息の特徴として、気道の炎症によって長期間の咳が引き起こされ、特に夜間や早朝に咳が増すことが一般的です。

また、運動や冷たい空気は気道を刺激し、その結果として咳が増加します。

これらの症状は、多くの臨床研究においても報告されています。

 

長期間にわたる咳、特に夜間や早朝に咳が悪化し、運動や冷たい空気で咳が増す場合は咳喘息を疑い、医療機関に相談することが重要です。

自己判断でなく医師の意見を求め、適切な診断と治療を受けることが大切です。

 

 

咳喘息の診断と検査

咳喘息の診断

咳喘息の診断は主に患者様の病歴身体診察特定の呼吸機能検査などに基づきます。

他の原因による咳を除外するための追加検査も必要になる場合があります。

 

咳喘息の診断は一般的に以下のステップで行われます。

 

病歴の問診

病歴の問診

咳の性状(発症時期、持続時間、関連症状など)や過去の喘息歴、アレルギー歴、職業歴などを詳しく問診します。

 

身体診察

身体診察

医師は胸部や鼻の検査を行い、喘息に特徴的な所見(呼吸音の異常など)を探します。

 

呼吸機能検査

呼吸機能検査

気道の過敏性を確認します。

 

これらの検査により、咳喘息が疑われる場合、他の原因による咳(例えば逆流性食道炎や慢性副鼻腔炎など)を除外するための追加検査(胸部X線など)が必要となることがあります。

 

このような綿密な診断プロセスを通じて、咳喘息を確定し、適切な治療を行うことが重要です。

 

 

咳喘息の検査

咳喘息の診断には通常、詳細な病歴聴取身体診察に続いて、呼吸機能検査血液検査画像検査などの様々な種類の検査が用いられます。

これらの検査は病状の理解、他の可能性を除外する、適切な治療法を決定するために重要です。

 

咳喘息の診断プロセスで用いられる主な検査は以下の通りです。

 

呼吸機能検査

呼吸機能検査は、気道が狭まっているかどうかを調べるための重要な検査で、スパイロメトリーが一般的に使用されます。

 

血液検査

血液検査は、体内の好酸球の数や特定の抗体のレベルを測定し、アレルギー反応を確認します。

 

画像検査

胸部X線やCTは、他の疾患(肺炎や肺腫瘍など)を除外するために用いられます。

 

 

咳喘息の治療方法

咳喘息の治療方法

咳喘息の治療

咳喘息の治療は主に症状を軽減することを目指し、通常、吸入ステロイド、気管支拡張薬、抗アレルギー薬などが用いられます。

また、アレルゲン回避や禁煙など、生活習慣の改善も重要な治療の一部となります。

 

咳喘息の治療は、個々の患者の症状や体調に合わせて調整されます。

以下の薬剤が一般的に用いられます。

 

吸入ステロイド

気道の炎症を抑制し、長期的に咳をコントロールします。

 

気管支拡張薬

気道を広げ、呼吸を楽にします。

 

抗アレルギー薬

アレルギーが咳喘息の原因となっている場合に用いられます。

 

リハビリテーション

呼吸器のリハビリテーションは、咳喘息の症状を改善し、日常生活の質を向上させる手段として利用されます。

 

禁煙

タバコは気道の炎症を悪化させ、咳喘息の症状を増幅します。

禁煙は治療の一部として必須です。

 

 

市販薬では効果が乏しい

咳喘息の症状に対して市販の薬は、一時的な緩和にはなるかもしれませんが、長期的な管理や症状の根本的な改善には通常不十分です。

 

咳喘息は持続的な炎症を特徴とする慢性的な疾患であり、その炎症をコントロールするためには専門的な治療が必要となることが多いです。

市販薬(一般的な鎮咳薬や抗ヒスタミン薬など)は一部の症状を緩和することがありますが、気道の炎症をコントロールする能力は限定的です。

そのため、専門的な医療介入が必要となります。

 

 

咳喘息を治療しないとどうなるの?

咳喘息を適切に治療しないと、症状が悪化し、生活の質が低下し、重篤な健康問題を引き起こす可能性があります。

 

咳喘息は、非管理状態で放置すると症状が増悪し、慢性的な呼吸機能の低下、無力感、睡眠障害などの問題を引き起こします。

また、持続的な炎症と強い咳は、気道の永続的なダメージや呼吸機能の低下を引き起こす可能性があります。

このような健康リスクを防ぐためには、適切な治療と管理が必要です。

 

咳喘息の症状を放置すると、症状の増悪や健康問題を招く可能性があります。

適切な医療的介入と管理を行うことで、これらの問題を防ぎ、生活の質を向上させることが可能です。

咳喘息の症状に悩まされている場合は、早期の医療的介入を求めることが重要です。

 

 

咳喘息の治療期間

咳喘息の治療期間

いつまで治療すれば良いの?

咳喘息の治療期間は、個々の患者の症状、全般的な健康状態、そして治療への反応により異なります。

咳喘息は慢性的な病気であり、長期的な管理と追跡が必要な場合が多いです。

 

咳喘息は慢性的な病気であり、個々の患者の体質や環境因子、治療法の適応性により、治療期間が大きく異なることが一般的です。

治療の目的は、咳のコントロールと生活の質の改善であり、これは個々の患者様により異なる期間を必要とします。

また、喘息の症状は慢性的であることが多く、症状の再発を防ぐための持続的な治療と管理が必要です。

 

 

咳喘息と日常生活

咳喘息と日常生活

日常生活で気を付けること

咳喘息を管理するためには、健康的な生活習慣を維持し、刺激物を避け定期的な治療を続けることが重要です。

 

咳喘息の症状は、特定の刺激物や環境要因によって悪化することがよくあります。

これらには、空気中の汚染物質、タバコの煙、冷たい空気、運動、感情的なストレスなどがあります。

これらの刺激物を避けることで、咳喘息の症状の管理が可能になります。

また、健康的な生活習慣を維持し、定期的な治療と医師の診察を続けることで、咳喘息の症状をより良くコントロールできます。

 

これらのことを心掛けることで、咳喘息の症状をより良くコントロールし、日常生活の質を向上させることが可能です。

 

 

咳喘息から喘息になるのか?

咳喘息から喘息になるのか?

咳喘息は、本質的には喘息の一形態であり、典型的な喘息と同じような病態変化と治療法を持ちます

そのため、咳喘息から喘息に「進行する」というよりは、症状の表現が変わることがあります。

 

咳喘息と喘息は、どちらも慢性的な気道炎症を伴う病状で、喘息という病態の中で症状が異なるだけとされています。

一部の患者様では咳が主な症状として現れ(これを咳喘息と呼びます)、他の患者様では呼吸困難や喘鳴が主な症状として現れます(これを喘息と一般に呼びます)。

しかし、これらは同じ病態の異なる表現形態であり、治療方法も基本的に同じです。

 

例を挙げます。

 

Aさんは、長期間にわたり咳が主な症状として現れ、咳喘息と診断されました。

数年後、彼女は呼吸困難と喘鳴も経験するようになりました。

そのため、彼女の症状は「咳喘息から喘息に進行した」と誤解されることがありますが、実際には同じ病態(喘息)の症状が変化したに過ぎません。

 

咳喘息と喘息は同じ基礎的な病態を共有しています。

したがって、咳喘息から喘息に「進行する」というよりは、病態の異なる表現形態として理解するべきです。

咳喘息の症状が変化または増加した場合、治療戦略を見直すことが重要です。

 

 

咳喘息を根本的に解決する方法はあるか?

咳喘息を根本的に解決する方法はあるか?

咳喘息を完全に治すという一つの明確な解決策は存在しません

しかし、適切な管理と治療を行うことで、症状を大幅に改善し、日常生活の質を向上させることが可能です。

 

咳喘息は慢性的な病状であり、現在のところ、その根本原因を解消する治療法は確立されていません

しかし、個々の患者様の症状や生活環境に合わせた治療計画を立て、その計画に従って治療を続けることで、咳やその他の症状を抑制し、日常生活をより快適に過ごすことができます。

 

治療プランは患者様個々の症状、生活習慣、体質に合わせて調整され、それに基づく治療の継続が大切です。

 

 

まとめ

まとめ

「咳喘息」は、一般的な喘息と似ていますが、主な症状は息苦しさや呼吸困難ではなく、長期間にわたる咳です。

この病気は気道の炎症が原因で起こり、その炎症が咳を引き起こします

また、咳喘息は、風邪や花粉症などの他の疾患からも引き起こされる可能性があります。

咳喘息の診断は医師によって行われます。

主に、病歴を聴取する聴診器で呼吸音を聴く呼吸機能検査を用いて検査が行われます。

この検査結果と症状から咳喘息の診断が下されます。

治療については、咳喘息の症状を改善するためには通常、薬物療法が用いられます。

特に吸入ステロイド吸入型β2刺激薬が一般的です。

また、生活習慣の改善も重要で、症状を悪化させる要因を避けることが推奨されます。

一方で、咳喘息の治療は患者様の体質や生活習慣によって効果が変わるため、医師とよく相談しながら進めることが大切です。

未治療のまま放置すると、気道の炎症が慢性化し、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を発症するリスクもあります。

 

以下に重要なポイントをまとめます。

  • 咳喘息は長期にわたる咳が主な症状で、気道の炎症が原因。
  • 咳喘息の診断は医師による検査と症状に基づく。
  • 治療は薬物療法と生活習慣の改善が中心。
  • 医師との連携を重視し、症状が慢性化する前に適切な治療を始める。

 

いかがでしたでしょうか。

咳喘息でお困りの方は是非当院にご相談ください。

このコラムの監修者

頴川博芸 エガワ ヒロキ

浅草橋西口クリニックMo

【経歴】
2016年 東海大学医学部医学科 卒業
2016年 順天堂大学医学部附属静岡病院 臨床研修医室
2017年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 入学
2018年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器・低侵襲外科
2021年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 修了
2021年 越谷市立病院 外科
2022年 順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科・消化器外科
2023年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科
2024年 浅草橋西口クリニックMo院長就任

【資格・所属学会】
日本専門医機構認定 外科専門医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
日本旅行医学会 認定医
東京都認知症サポート医
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本温泉気候物理医学会
日本腹部救急医学会
日本大腸肛門病学会
順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科 非常勤医師
難病指定医
小児慢性特定疾病指定医

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