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発熱・風邪症状

風邪とは

風邪は、感染症の一種であり、主に鼻や喉などの上気道にウイルスが感染し、それによって引き起こされる病気です。感冒、急性上気道炎、上気道感染症などとも呼ばれます。

風邪の一般的な症状には、鼻づまり、鼻水、くしゃみ、喉の痛み、咳、頭痛、倦怠感などがあります。

かぜの原因となるウイルスではライノウイルスが多く、続いてコロナウイルス(新型コロナウイルスとは別種の)、インフルエンザウイルス、RSウイルスなどが続き、多くはありませんがアデノウイルス、エンテロウイルス、ヒトメタニューモウイルスなども、かぜの原因となり得ます。

年齢とともに罹ることは少なくなりますが、年間平均で、小児は6~10回、20~39歳は2~4回、40歳以上は2回はかぜに罹患するといわれています。

風邪は空気中の飛沫感染や直接的な接触によって広がることがあり、感染力が強く、季節によって流行することもあります。風邪の症状は通常、数日から1週間程度で自然に改善することが多いですが、一部の人には症状が重くなる場合や合併症が起こる可能性もあります。

風邪の予防には、適切な手洗いや咳エチケットの実践、免疫力を高める生活習慣の維持、インフルエンザワクチンの接種などが効果的です。

治療には、休息、適切な水分摂取、症状に応じた薬物療法などが行われます。ただし、風邪はウイルス感染症であるため、抗生物質は不要です。抗生物質は風邪の治療には効果的ではありません。膿性の鼻水や痰があるからといって細菌感染症とは限りません。

 

風邪の症状と進行

鼻づまりやくしゃみ
喉の痛みや咳
発熱や倦怠感

初期症状:風邪に感染した直後から数日間は、以下のような初期症状が現れることがあります。

  • 喉の痛みや違和感
  • 鼻づまりや鼻水
  • くしゃみや咳
  • 軽度の頭痛や筋肉痛
  • 発熱(一般的には軽度で短期間)

 

進行症状:風邪が進行すると、以下の症状が現れることがあります。

  • 鼻づまりが悪化し、鼻通りが悪くなる
  • 鼻水が増える
  • 咳が悪化し、痰が絡むことがある
  • 喉の痛みや症状が続く
  • 頭痛や体のだるさが続く
  • 発熱が続く場合もある

通常、風邪の症状は数日から1週間程度で自然に改善し、完全に回復します。ただし、免疫力が低下している場合や他の健康問題を抱えている場合、症状が重くなる可能性や合併症のリスクが高まることもあります。

 

診断と治療

診断:

風邪の診断は通常、症状や身体の状態を評価することで行われます。病歴の聴取や身体診察を行い、他の病気や感染症との鑑別診断を行います。特定の検査や検査結果は必要ない場合が多いですが、症状が重篤な場合や合併症の可能性がある場合には、追加の検査が行われることもあります。

 

治療:

風邪の治療は、通常は自宅での療養と対症療法が主なアプローチです。

  1. 休息と十分な睡眠: 充分な休息と睡眠をとり、体力を回復させます。

  2. 水分補給: 風邪の症状による発熱や鼻水の増加により、水分が失われることがあります。十分な水分を摂り、脱水症状を予防しましょう。

  3. 咳や鼻づまりの緩和: 咳止め薬や解熱鎮痛薬を使用することで、咳や鼻づまりの症状を緩和することができます。

  4. 喉の痛みの緩和: 喉の痛みや違和感がある場合は、うがいやのど飴などを利用して症状を緩和します。

  5. 免疫力を高める: 健康的な食事やバランスの取れた栄養摂取、適度な運動、ストレス管理などを行い、免疫力を高めることが大切です。

かぜ自体は自然に治ることがほとんどです。

自然経過としては微熱や倦怠感、咽頭痛から始まり、1~2日遅れて鼻水や鼻づまりが起こり、その後咳や痰が出てきます。

3日前後に症状のピークがあり、7~10日程度で治癒していくことが多いです。

重要なことは、風邪の症状が改善するまで適切なケアを続けることです。また、風邪の予防策として、手洗いの徹底、咳エチケットの実施、人ごとの物品の共有を避けるなどの衛生習慣を守ることも重要です。

 

風邪に対する一般的な薬物療法

風邪に対する一般的な薬物療法は、主に症状の緩和を目的とした対症療法です。

  1. 解熱鎮痛薬: 高熱や体の痛みを緩和するために使用されます。一般的な解熱鎮痛薬としては、アセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリンなどがあります。ただし、子供や特定の状況下では使用が制限される場合もあるため、適切な用量と使用方法に注意してください。

  2. 鼻づまりのための点鼻薬: 鼻づまりを緩和するために使用されます。点鼻薬には抗ヒスタミン薬や血管収縮薬が含まれており、一時的に鼻の通りを改善します。しかし、長期間の使用や過剰使用は鼻づまりを悪化させることがありますので、指示された用法を守ることが重要です。

  3. 咳止め薬: 乾いた咳を和らげるために使用されます。鎮咳薬と呼ばれる薬物がありますが、適切な用法と使用期間を守ることが重要です。

  4. 喉の痛みのためののど飴や喉スプレー: 喉の痛みや違和感を緩和するために使用されます。のど飴や喉スプレーには鎮痛作用や殺菌作用のある成分が含まれています。

重要な点として、風邪に対する薬物療法は症状の緩和を目的とするものであり、風邪自体の治癒には寄与しません。薬物の使用にあたっては、適切な用法と使用期間を守り、副作用や注意事項についても注意してください。

 

特定の症状の治療

「のど」の症状がメインの場合(咽頭炎の可能性がある)

咽頭症状がメインの場合、抗生物質の適応となる細菌性咽頭炎を可能性として考えます。

また、見逃せない咽頭症状を起こしうる鑑別疾患として、性感染症があります。

オーラルセックスにより感染する淋菌クラミジア咽頭炎の場合、無症候性のことが多いです。

梅毒では、1期で口腔内の無痛性潰瘍(硬性下疳)を起こすこともありますが、咽頭炎を模倣する症状は主に2期梅毒で生じます。

受診前の1期症状についての聴取や、2期に見られるバラ疹について注意深く観察を行います。

急性HIV感染症でも感冒症状を呈し、咽頭炎を模倣することがあります。

性器や口腔内潰瘍の存在、リンパ節腫大、皮疹などがみられます。

 

「はな」の症状がメインの場合(副鼻腔炎の可能性がある)

鼻症状がメインの風邪の場合、まず急性副鼻腔炎かどうか、そしてウイルス性副鼻腔炎なのか細菌性副鼻腔炎なのかを考えます。

一般的に、急性副鼻腔炎は風邪に比較して症状が片側性だったり、副鼻腔症状(鼻づまりを伴う膿性の鼻水、顔面痛、顔の圧迫感など)が顕著であったりするため、特に鼻症状が顕著で片側性である場合は急性副鼻腔炎を考えます。

抗生物質の適応となる細菌性急性副鼻腔炎の判断ですが、

  • 副鼻腔症状(鼻づまりを伴う膿性の鼻水、顔面痛、顔の圧迫感など)が明らかな改善をせずに10日以上持続する場合
  • 片側性の頬部の痛み・腫脹、発熱、膿性の鼻水が発症から連続して3~4日以上持続する場合
  • 当初は典型的なかぜで5~6日程度で改善してきた後に、発熱や頭痛、鼻水などの症状が悪化する場合

のいずれかで急性細菌性副鼻腔炎と診断し、抗生物質の投与を開始します。

 

「せき」症状がメインの場合(肺炎の可能性がある)

下気道症状(咳・痰)がメインの場合、肺炎を考慮する必要があります。

基本的に高齢者以外で呼吸音が正常であれば肺炎の可能性は低いと考えられます。

 

風邪とインフルエンザの違い

風邪(かぜ)とインフルエンザは、両方とも呼吸器系の感染症ですが、いくつかの点で異なる特徴を持っています。以下に風邪とインフルエンザの違いをまとめました。

  1. 病原体(原因となるウイルス)
  • 風邪:主にコロナウイルスやアデノウイルスなどが原因です。
  • インフルエンザ:インフルエンザウイルスが原因です。
  1. 症状の重篤さ
  • 風邪:通常は軽度の症状であり、喉の痛み、くしゃみ、鼻水、咳、微熱などが現れます。
  • インフルエンザ:急激な発症と高い熱(38度以上)が特徴で、全身の倦怠感、筋肉痛、頭痛、悪寒、咳、鼻づまりなどの症状が現れます。
  1. 発症のタイミングと期間
  • 風邪:症状は比較的緩やかに現れ、数日から1週間ほど続くことが一般的です。
  • インフルエンザ:急激な発症が特徴で、発症後数日から1週間ほどの期間が症状が続きます。

4.合併症のリスク

  • 風邪:通常は合併症のリスクは低く、健康な人では自然に回復します。
  • インフルエンザ:高熱や体力の低下により、重症化や合併症(肺炎、心筋炎など)のリスクがある場合があります。特に高齢者や免疫力が低下している人、基礎疾患を持つ人は注意が必要です。

5.ワクチンの有効性

  • 風邪:一般的な風邪にはワクチンが存在しません。
  • インフルエンザ:インフルエンザのワクチンがあり、年々変異するウイルスに対して効果的です。定期的な予防接種が推奨されています。

 

風邪と新型コロナウイルス感染症の違い

風邪と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、いくつかの点で異なる特徴を持っています。以下に風邪とCOVID-19の違いをまとめました。

  1. 病原体(原因となるウイルス)
  • 風邪:風邪の症状を引き起こす主なウイルスは、コロナウイルスやアデノウイルスなどです。
  • COVID-19:COVID-19は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)というウイルスによって引き起こされる感染症です。
  1. 症状の重篤さ
  • 風邪:風邪の症状は通常軽度であり、喉の痛み、くしゃみ、鼻水、咳、微熱などが一般的です。一般的には自己限定的な病気です。
  • COVID-19:COVID-19の症状は個人によって異なりますが、一般的には高熱、乾いた咳、倦怠感、呼吸困難などが現れます。重症化すると肺炎や呼吸不全を引き起こす可能性があります。
  1. 伝播力と感染性
  • 風邪:風邪のウイルスは、空気中の飛沫や接触によって感染することがありますが、感染性は一般的に比較的低いです。
  • COVID-19:COVID-19は、飛沫感染や空気中のウイルスの微粒子(エアロゾル)によって感染し、比較的高い感染性を持つとされています。
  1. ワクチンの有効性
  • 風邪:風邪にはワクチンが存在しますが、一般的な風邪のためのワクチンは開発されていません。
  • COVID-19:COVID-19のワクチンが開発され、世界的に接種が行われています。ワクチンは感染の予防や症状の軽減に効果的です。

 

いかがでしたでしょうか。

ただのかぜと思っていても、思わぬ病気が隠れていることがございます。

前述したように実際に抗生物質が適応となる症例は限られています。

安易に抗生物質を投与することは、下痢などの副作用や耐性菌増加につながる恐れがあるので、推奨しません。

ただし、経過をみて改善しない場合に抗生物質を使うことは、患者様の理解が得られれば有用な方法とされています。

2週間以上経過してもかぜ症状が持続する場合には、合併症の続発や他の疾患を考えます。

また、咳は感冒後咳嗽といって、2週間以上経過しても残る場合があり、せき止めの薬の長期使用が必要になることもります。

3週間以上持続する場合は遷延性咳嗽と呼ばれ、咳喘息やアトピー咳嗽などが隠れていることがあります。

 

発熱や風邪症状のある方は、是非当院発熱外来にてご相談ください。

このコラムの監修者
鈴木 覚すずき さとる

【経歴】
2015年 聖マリアンナ医科大学卒業
2015年 聖マリアンナ医科大学病院 臨床研修
2017年 聖マリアンナ医科大学病院
2018年 港北ニュータウン診療所
2019年 ひたちなか総合病院
2022年 川口工業総合病院
2023年 浅草橋西口クリニックMo開設

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