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B型肝炎(HBV)

B型肝炎とは

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus、HBV)によって生じる肝炎です。

B型肝炎(HBV陽性)は急性肝炎、慢性肝炎(肝硬変を含む)、キャリアに分けて考えます。

急性肝炎とは、ウイルス感染などにより一過性に肝障害が生じる状態です。

慢性肝炎は急性肝炎が治癒せずに、肝障害が6カ月以上にわたって継続する状態です。

また、HBVに持続感染していますが肝炎を発症していない方を、無症候性キャリアと呼びます。

このなかで、特にウイルスの活動性が十分低下し肝炎を発症しない方を非活動性キャリアと呼びます。

 

近年、B型急性肝炎は性感染症として増加しています。

HBVは男女間および男性間の性行為で非常に効率に感染します。

HBV陽性の方とワクチン接種していない方の男女間性行為での感染率は40%に上るとされているほどです。

 

HBV感染からB型急性肝炎発症までの潜伏期間は、1~4か月間と比較的長期間です。

症状

B型急性肝炎の主な症状は、その他の急性ウイルス性肝炎と同様にインフルエンザ様症状であり、倦怠感、食欲不振、嘔気・嘔吐、右上腹部不快感などを認めます。

B型急性肝炎に特徴的な症状としては、黄疸が生じる前あるいは黄疸出現とともに血清病様症候群を認めることです。

血清病様症候群はB型急性肝炎のおよそ10~20%にみられ、発熱とともに皮疹、関節痛、多関節炎を認めます。なお皮疹は様々な形態をとります。

血液検査上、肝機能障害が認められ、おおむね1~4か月で肝機能の数値は正常化しますが、6か月以上肝機能の数値が正常化しなければ、B型慢性肝炎への移行が懸念されます。

診断

急性肝炎を示唆する肝機能障害があり、IgM-HBc抗体が陽性の場合にB型急性肝炎と診断します。HBs抗原は通常陽性となりますが陰性のこともあります。

また、HBs抗原が陽性であるということは現在HBVに感染していることを示します。

慢性肝炎を示唆する肝機能障害があり、HBs抗原が6か月間持続陽性の場合にB型慢性肝炎と診断します。

無症候性キャリアではHBs抗原は持続陽性ですが、肝機能障害はありません。

 

したがって、B型急性肝炎の一部を除き、HBs抗原陰性の時にB型肝炎は除外されます。

治療

B型急性肝炎では、多くの場合、無治療でもHBs抗原のセロコンバージョンが得られること(肝炎が沈静化し、無症候性キャリアとなること)から、重症化・劇症化に注意を払いながら、対症療法にて経過観察を行います。

B型急性肝炎の重症化・劇症化が懸念される場合には、核酸アナログ製剤を中心とした抗ウイルス療法を開始する必要があります。

 

また、HBV非活動性キャリアでも、3~6カ月に1回受診することが望ましいです。

予防

B型肝炎はワクチンでの予防が可能です。

ワクチンスケジュールは初回⇒1か月後⇒6か月後という3回の接種で1シリーズであり、40歳以下では90%以上で抗体価の獲得が可能とされています。

このコラムの監修者
鈴木 覚すずき さとる

【経歴】
2015年 聖マリアンナ医科大学卒業
2015年 聖マリアンナ医科大学病院 臨床研修
2017年 聖マリアンナ医科大学病院
2018年 港北ニュータウン診療所
2019年 ひたちなか総合病院
2022年 川口工業総合病院
2023年 浅草橋西口クリニックMo開設

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