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糖尿病で足が痛む原因とは?痛みが出やすい場所や痛み以外の症状も解説

[2025.12.18]

「最近、足のつま先がピリピリ痛む」「ふくらはぎがよくつる」などはありませんか?そして足が痛む原因が糖尿病にあるのではないかと不安になっているのではないでしょうか。

糖尿病による足の痛みは、現れる「場所」によって、神経障害や血行障害など、疑われる原因が異なります。放置すると、痛みだけでなく感覚が麻痺し、足の切断にもつながる「糖尿病足病変」へと進行する危険なサインかもしれません。

そこでこの記事では、以下の内容を徹底解説していきます。

  • 糖尿病で足が痛む原因
  • 糖尿病による足の痛み・しびれが出やすい部位
  • 糖尿病が原因で足に現れる痛み以外の症状
  • 糖尿病による足の痛みの対処法や治療法
  • 糖尿病による足の痛みの予防法

この記事を読むことで、糖尿病と足の痛みやしびれの関係を詳しく理解できます。足の痛みで不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

1.なぜ糖尿病で足が痛むのか

糖尿病で足が痛む主な原因は、「糖尿病神経障害」と「血行障害」です。高血糖の状態が長く続くと、血液の粘度が高まって血流が悪くなると同時に、神経細胞そのものにもダメージが蓄積していきます。

さらに、これらが組み合わさって足の変形などが起こり、痛む場合もあるのです。

糖尿病で足が痛む原因について、一つずつ深掘りしていきます。

1-1.原因①糖尿病神経障害

糖尿病神経障害は、高血糖によって神経細胞が傷つけられる糖尿病の合併症で、足の痛みの最も一般的な原因です。

高血糖が続くと、神経細胞の中にソルビトールという物質が溜まったり、神経に栄養を送る細い血管が詰まったりして、神経の働きが鈍くなります。その結果、神経が異常な信号を発し、実際には何も刺激がないのに「ピリピリ」「ジンジン」とした痛みやしびれを感じるようになります。

進行すると感覚が麻痺し、ケガをしても気づかなくなる危険な状態になります。

1-1-1.つま先から症状が出やすい

糖尿病神経障害の症状は、心臓から最も遠い場所にある末梢神経、すなわち「足のつま先」や「足の裏」から出やすいのが特徴です。

初期症状としては、足先のしびれ感や、まるで「砂利の上を歩いている」「薄い紙が張り付いている」といった違和感として現れる場合があります。痛みも、足の指先や甲にピリピリとした痛みが左右対称に出るのが典型的です。

これらの症状は、徐々に足首からふくらはぎへと上に向かって広がっていく傾向があります。

1-1-2.神経障害による症状の変化

神経障害による症状は、進行具合によって変化します。初期段階では、「ピリピリ」「ジンジン」といった痛みやしびれ、冷えといった感覚の異常が主な症状です。とくに夜間、布団に入って体が温まった時などに痛みが強くなるケースもよく見られます。

症状がさらに進行すると、神経が完全に麻痺してしまい、逆に痛みや熱さ、冷たさを全く感じない「感覚の鈍化(どんか)」という状態になります。この段階になると、ケガや火傷をしても気づかず、潰瘍・壊疽といった足病変へと進むリスクが非常に高くなります。

1-2.原因②血行障害

血行障害も、糖尿病による足の痛みの大きな原因となります。高血糖は血管の壁を傷つけ、動脈硬化を進行させます。とくに足の太い血管が動脈硬化で狭くなったり詰まったりすると、足先まで十分な血液が届かなくなってしまうのです。その結果、少し歩いただけですぐにふくらはぎが痛くなり、休むと治まるといった症状が出ます。

神経障害と異なり、血行障害による痛みは足先だけでなく、ふくらはぎや太ももにも現れやすいのが特徴です。

1-3.原因③足の変形・皮膚のトラブル

足の変形や皮膚のトラブルが、足の痛みの直接的な原因となる場合もあります。

糖尿病性神経障害が進行して足の感覚が鈍くなると、足の筋肉が萎縮したり、体重のかかり方が偏ったりして、足が変形(たとえばハンマートゥや扁平足)しやすくなります。足が変形すると、靴が合わなくなり、特定の場所にタコやウオノメができやすくなります。

タコやウオノメ自体が痛むだけでなく、その部分の皮膚の下で内出血や潰瘍ができることで、深刻な痛みを引き起こす場合もあり、注意が必要です。

 

2.糖尿病による足の痛み・しびれが出やすい部位

糖尿病による足の痛みやしびれは、特定の部位に出やすい傾向があります。以下のような部位です。

  • 足の指・つま先(最も多い場所)
  • 足の裏(土踏まず)
  • すね・ふくらはぎ

これらの場所に違和感を覚えたら、糖尿病の合併症が始まっているサインかもしれません。詳しく見ていきましょう。

2-1.足の指・つま先(最も多い場所)

足の指やつま先は、糖尿病性神経障害による痛みやしびれが最も多く現れます。心臓から最も遠く、神経の先端が集まっているため、高血糖によるダメージの影響を一番受けやすいためです。

症状としては、「両足の指先がピリピリする」「つま先がジンジン痛む」「感覚が麻痺して鈍い」といった形で現れます。初期症状はごくわずかな違和感の場合もありますが、放置すると徐々に症状の範囲が広がっていくリスクがあり、症状を見逃さないことが重要です。

2-2.足の裏(土踏まず)

足の裏(土踏まずを含む足底)も、つま先と並んで症状が出やすい場所です。神経障害が足の裏に及ぶと、痛みやしびれのほかに、「足の裏に紙が一枚張り付いたような違和感がある」「砂利の上や、フワフワしたじゅうたんの上を歩いているような感覚がする」といった、特有の感覚異常を訴える方が多くいます。これも神経が正常に働かなくなり、地面からの刺激を正しく脳に伝えられなくなっている状態です。

2-3.すね・ふくらはぎ

すねやふくらはぎに症状が出る場合、神経障害だけでなく血行障害(閉塞性動脈硬化症)が関係している可能性もあります。神経障害による「こむら返り(足がつる)」や、すねの皮膚が乾燥してかゆくなる、といった症状もよく見られます。

さらに血行障害が合併すると、歩行時にふくらはぎが締め付けられるように痛くなり、少し休むと痛みが和らぐ「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」という特徴的な症状が現れます。これは血流不足のサインであり、注意が必要です。

 

3.糖尿病が原因で足に現れる痛み以外の症状

糖尿病が原因で足に現れる変化は、痛みだけではありません。主な症状は以下の5つです。

  • しびれ・感覚の鈍化
  • 皮膚の乾燥・かゆみ
  • 感染症
  • 冷えや血行不良
  • 潰瘍・壊疽(糖尿病足病変)

それぞれ解説します。

3-1.しびれ・感覚の鈍化

しびれや感覚の鈍化は、糖尿病性神経障害の典型的な症状であり、足の痛みが進行した結果として現れます。

初期は「ピリピリ」「ジンジン」といった痛みやしびれとして感じられますが、さらに神経のダメージが深刻化すると、感覚そのものが麻痺していきます。熱いやかんやストーブに触れても気づかなかったり、靴の中に小石が入ったまま歩き続けて傷ができたりするほどです。

痛みを感じないためケガを放置しやすく、これが足病変の最大の引き金となります。

3-2.皮膚の乾燥・かゆみ

皮膚の乾燥やかゆみも、糖尿病の足によく見られる症状です。

高血糖による脱水症状や、神経障害による発汗調節の異常によって、皮膚が水分を失いやすくなり、カサカサに乾燥します。とくに「すね」の部分は乾燥しやすく、強いかゆみをともなう場合があります。

乾燥した皮膚はバリア機能が低下しているため、掻きむしるとそこから細菌が入り込み、感染症や潰瘍の原因となるため注意が必要です。

3-3.感染症

糖尿病の人は、免疫力の低下と高血糖により、感染症にかかりやすくなります。とくに足では、真菌の一種である白癬菌が原因の「水虫」や、爪が白く濁って厚くなる「爪白癬」に注意が必要です。

感染症を放置すると、爪の変形による痛みや、皮膚がジュクジュクして細菌感染の入り口になる場合があります。足や爪を清潔に保ち、異常があればすぐに皮膚科を受診しましょう。

3-4.冷えや血行不良

足先が異常に冷たく感じる「冷え」は、血行不良が起きているサインかもしれません。

高血糖で動脈硬化が進み、足への血流が悪くなると、酸素や栄養だけでなく熱も足先まで十分に届かなくなります。その結果、冬場だけでなく夏場でも足が冷たいと感じるようになるのです。

また、血行不良は神経障害の症状である「ピリピリ感」を「冷え」と勘違いさせる場合もあります。

どちらにしても、足の血流が悪い証拠であり、傷が治りにくい危険な状態です。

3-5.潰瘍・壊疽(糖尿病足病変)

潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)は、糖尿病足病変の最も重い症状であり、足の切断につながる緊急事態です。

糖尿病によって感覚が鈍化しているため靴擦れやタコ、小さな傷に気づかず、そこに感染症が加わります。さらに血行不良で傷を治す力も弱まっているため、傷がどんどん深くなって皮膚や組織がえぐれ(潰瘍)、最終的には組織が死んで黒く変色(壊疽)してしまうという流れです。

症状が進行すると、治療は非常に困難です。日々のフットケアで小さな傷を早期に発見することが何よりも重要です。

 

4.糖尿病による足の痛みの対処法や治療法

糖尿病による足の痛みの対処法や治療は、痛みの原因となっている神経障害や血行障害の進行を食い止める「血糖値コントロール」が全ての基本となります。

そのうえで、現在出ているつらい痛みやしびれを和らげるための「薬物療法」や、すでに傷や潰瘍ができてしまった場合の「皮膚科や形成外科での専門的治療」を組み合わせておこないます。

以下でさらに詳しく見ていきましょう。

4-1.血糖値コントロールの徹底

足の痛みやしびれの根本的な治療法は、血糖値コントロールを徹底することです。足の痛みの主な原因である神経障害や血行障害は、すべて高血糖の状態が続くのが引き起こすからです。

食事療法や運動療法を見直し、必要に応じて薬物療法を調整して血糖値を良好な状態に安定させれば、神経や血管へのダメージの進行を抑えられます。これにより、将来的な症状の悪化を防ぐだけでなく、初期の痛みやしびれであれば改善が期待できる場合もあります。

4-2.痛みやしびれ・血行を改善する薬物療法

今あるつらい痛みやしびれに対しては、症状を和らげるための薬物療法がおこなわれます。糖尿病性神経障害による特有の痛み(ピリピリ、ジンジンする痛み)には、一般的な鎮痛剤ではなく、神経の異常な興奮を抑える専用の薬が用いられます。

また、血行障害が原因の場合は、血液をサラサラにする薬(抗血小板薬)や、血管を広げて血流を改善する薬が処方されます。

ただしこれらは根本治療ではないため、血糖値コントロールと並行することが大切です。

4-3.皮膚科や形成外科での治療

足にタコやウオノメ、靴擦れなどができ、そこから傷や潰瘍(かいよう)にまで発展してしまった場合は、ただちに皮膚科や形成外科での専門的な治療が必要です。

糖尿病の人は免疫力が低下しており、血流も悪いため、小さな傷からでも細菌に感染して一気に重症化(壊疽)しやすい危険な状態です。専門医による傷の洗浄や消毒、悪い組織を取り除く処置、適切な薬や保護材による治療が不可欠になります。

自己判断せず、医療機関を受診するようにしてください。

 

5.糖尿病による足の痛みの予防法

糖尿病による足の痛みを予防するために、以下の4点を意識・実践するようにしてください。

  • 食事や運動などの習慣を改善する
  • 足を毎日観察・清潔に保つ
  • 保湿を徹底する
  • 足にあった靴・靴下を選ぶ

詳しく解説します。

5-1.食事や運動などの習慣を改善する

足の痛みを予防する最大の鍵は、食事や運動などの生活習慣を改善し、血糖値を良好な状態に保ち続けることです。

高血糖こそが神経や血管を傷つける根本原因であるため、血糖値を安定させれば合併症の発症や進行を抑えられます。カロリーや糖質、脂質のバランスを考えた食事療法と、ウォーキングなどの適度な運動療法を継続しましょう。

良好な血糖コントロールは、足の痛みだけでなく、網膜症や腎症といった他の重大な合併症の予防にも直結します。

5-2.足を毎日観察・清潔に保つ

足病変を予防するために、毎日お風呂の時間などに自分の足を隅々まで観察し、清潔に保つ習慣が非常に重要です。糖尿病性神経障害が進行すると足の感覚が鈍くなり、ケガをしても気づかない場合があるからです。

足の裏や指の間などに、タコ、ウオノメ、靴擦れ、小さな傷、水ぶくれ、色の変化(赤みや黒ずみ)がないかを毎日チェックしてください。また、足を洗う際はゴシゴシこすらず、石鹸をよく泡立てて優しく洗い、指の間までしっかり乾かすのを心がけましょう。

5-3.保湿を徹底する

足を清潔にしたあとは、保湿を徹底しましょう。

糖尿病の人は、神経障害による発汗異常や高血糖による脱水症状で、足の皮膚が非常に乾燥しやすくなっています。乾燥した皮膚はカサカサしてバリア機能が低下しており、かゆみを引き起こしたり、ひび割れを起こして傷の入り口になったりしてしまうのです。

入浴後は、足の指の間を避けて、かかとや足の裏、すねなどに保湿クリームを優しく塗り込み、皮膚の乾燥を防ぎましょう。

5-4.足にあった靴・靴下を選ぶ

自分の足にあった靴や靴下を選ぶことは、足の痛みを予防し、足病変を防ぐうえで非常に重要です。感覚が鈍化していると、サイズの合わない靴や硬い靴を履いていても痛みを感じず、気づかないうちに靴擦れやマメ、タコを作ってしまいます。その小さな傷が潰瘍の原因になるのです。

そのため靴を選ぶ際は、つま先にゆとりがあり、素材が柔らかく、かかとがしっかり固定されるものを選びましょう。靴下は、通気性・吸湿性の良い木綿製で、縫い目がなく、ゴムがきつすぎないものがおすすめです。

 

6.糖尿病による足の痛みが悪化する前に医療機関を受診しよう

糖尿病による足の痛みが悪化する前に、できるだけ早く医療機関を受診することが、足の切断といった深刻な事態を防ぐために非常に重要です。

足の痛みやしびれは、神経障害や血流障害といった糖尿病の合併症がすでに進行し始めているという体からの警告サインです。「ただの疲れ」「年のせい」と自己判断で放置しないようにしましょう。

6-1.医療機関を受診すべきサイン

医療機関を受診すべきサインを、以下の表にまとめました。

「足がピリピリ、ジンジンとしびれる」「安静時や夜間に痛みが強くなる」「足の感覚が鈍くなり、熱さや冷たさを感じにくい」といった神経障害の症状が出たときです。

また、「歩くとふくらはぎが痛くなり、休むと治まる」のは血行障害のサインです。さらに、足にタコやウオノメができやすくなったり、皮膚が乾燥してひび割れたり、赤みや黒ずみといった色の変化が見られたりした場合も、合併症が進行している危険な兆候、すぐに医師に相談してください。

6-2.糖尿病による足の痛みで受診すべき診療科

糖尿病による足の痛みで受診すべき診療科は、まずは血糖値コントロールをおこなっている「糖尿病内科」や「内分泌内科」です。足の痛みは合併症のサインであるため、現在の血糖管理状況とあわせて総合的に診断してもらう必要があります。

そのうえで、水虫や傷、潰瘍がある場合は「皮膚科」や「形成外科」、血行障害が強く疑われる場合は「血管外科」、骨の変形や腰からの痛みが疑われる場合は「整形外科」といった、専門の診療科を受診するのも一つの手段です。

 

7.まとめ

この記事では、糖尿病で足が痛む原因や痛みが出やすい場所、対処法、予防法まで詳しく解説しました。

足の痛みやしびれは、神経障害や血行障害が始まっている重要なサインです。とくに「感覚が鈍くなる」のは、潰瘍や壊疽といった足病変につながる最も危険な兆候です。

治療の基本は血糖コントロールと日々のフットケアですが、自己判断は禁物です。足の痛みが悪化する前に、必ず主治医や専門医に相談しましょう。

浅草橋西口クリニックMoでは、糖尿病をはじめとしたさまざまな疾患に対しての診療をおこなっています。「糖尿病で生活が変化しないか不安」「早いうちから糖尿病を予防したい」などのお悩みがある方は、ぜひ一度当院へご相談ください。

このコラムの監修者

頴川博芸 エガワ ヒロキ

浅草橋西口クリニックMo

【経歴】
2016年 東海大学医学部医学科 卒業
2016年 順天堂大学医学部附属静岡病院 臨床研修医室
2017年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 入学
2018年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器・低侵襲外科
2021年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 修了
2021年 越谷市立病院 外科
2022年 順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科・消化器外科
2023年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科
2024年 浅草橋西口クリニックMo院長就任

【資格・所属学会】
日本専門医機構認定 外科専門医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
日本旅行医学会 認定医
東京都認知症サポート医
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本温泉気候物理医学会
日本腹部救急医学会
日本大腸肛門病学会
順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科 非常勤医師
難病指定医
小児慢性特定疾病指定医

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