虫垂炎の初期症状とは?症状の進行パターンや放置するリスク
腹部に痛みが出たとき、「いつものことだから大丈夫」とつい思ってしまいがちですよね。ですが腹部の痛みは、虫垂炎の前兆かもしれません。
そこでこの記事では、虫垂炎の概要と虫垂炎が疑われる初期症状(前兆)について徹底解説していきます。記事の後半では、虫垂炎が進行する4つのリスクも解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
1.そもそも虫垂炎とは
そもそも虫垂炎とは、「盲腸」や「盲腸炎」と呼ばれている病気の正しい名称です。虫垂炎は、大腸の入り口に位置する盲腸から垂れ下がっている虫垂に異物がつまり、細菌感染によって炎症を引き起こします。
発症すると腹部に急激な激痛が走り、症状が進行することで外科手術による治療が必要です。
虫垂炎は、10代から20代の人に最も多く見られる病気ですが、高齢者や小児にも広く見られます。実際、およそ15人に1人が生涯に1回は発症するといわれてるほどです。
関連記事:【医師監修】急性虫垂炎とは?原因や症状・治療方法など徹底解説
1-1.虫垂炎と盲腸の違い
前述もしましたが、「盲腸」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
実は盲腸とは病気の名前ではなく、大腸と小腸がつながる場所に位置する腸の一部を指す名称です。盲腸は消化消化器官の一部であり、消化機能を担っています。
対して虫垂炎は、盲腸から垂れ下がっている虫垂部分が細菌感染などが原因で炎症を起こしている状態です。
過去には、虫垂炎による炎症が盲腸まで広がった状態で発見されることが多かったため、盲腸の病気と認識されていました。そのため、盲腸という言葉が広く知られるようになったと考えられます。
2.虫垂炎が疑われる初期症状(前兆)とは?
では、虫垂炎を発症するとどのような初期症状が出るのでしょうか。
一般的に、虫垂炎は右下腹部の痛みを主症状と考えられがちです。しかし実際は、初期症状としてみぞおち(心窩部)からおへそ周囲にかけての鈍い痛みから始まることが多いのが特徴です。
その後、2〜3時間経つと吐き気や嘔吐が伴うようになります。
虫垂炎の初期症状は胃腸炎の症状とよく似ているため、この時点での区別は非常に困難です。
2-1.虫垂炎の進行パターン
虫垂炎では、前述したような初期症状が順番に現れるのが一般的です。基本的に以下のような順番で症状が進みます。
- おへそ周辺やみぞおちから痛みが出る
- 吐き気(悪心)や嘔吐が現れる
- 次第に痛みが右下腹部に移動する
- 37度前後の微熱から38度程度の発熱が見られる
このように症状が見られた場合は、虫垂炎が疑われます。歩行時に腹部の痛みが強くなる場合は、さらに悪化して腹膜炎が生じている可能性が高いため、速やかに医療機関を受診してください。
また、症状が2日以上続き腹部全体の痛みと38度以上の発熱が見られる場合は、虫垂の穿孔や膿瘍形成などが重症段階である可能性があります。
3.虫垂炎が進行する4つのリスク
虫垂炎の早期治療をおこなわずに放置すると、虫垂炎が進行し以下4つのリスクが発生します。
- 虫垂の破裂
- 腹膜炎
- 敗血症
- 合併症
それぞれ解説します。
3-1.虫垂が破裂するリスク
虫垂内部の圧力が高まり、虫垂の壁が耐えられなくなった結果として、虫垂の破裂が起こります。
虫垂が破裂すると、腸内の細菌が腹腔内に漏れ出し、重篤な感染症や腹膜炎を引き起こす危険性があります。
3-2.腹膜炎のリスク
虫垂が破裂すると、腹腔内に感染が広がり、以下のような症状を伴う腹膜炎を引き起こすことがあります。
- 激しい腹痛
- 高熱
- 悪寒
- 吐き気
- 嘔吐
- 心拍数
腹膜炎が認められる場合は、即座の治療が必要不可欠です。
3-3.敗血症のリスク
破裂した虫垂からの細菌が血流に入ると、敗血症を引き起こす可能性があります。
敗血症は血圧の低下や高熱・急激な心拍数の増加など重篤な症状を伴い、命の危険にもなりかねません。
3-4.合併症のリスク
虫垂炎が進行すると、腹部の癒着や慢性的な痛みなど、長期的な合併症を引き起こす可能性があります。
合併症のリスクを避けるためには、前述した初期症状が出た段階で速やかに医療機関にて診断を受けることが重要です。
4.虫垂炎の診療方法
虫垂炎が疑われるときは、まず医師による問診を受けてください。問診にて痛む位置や症状の経過を確認し、左下腹部を触診して強い痛みの有無を確認します。
加えて、腹部エコー検査やレントゲン検査、血液検査などをおこない、虫垂の状態を評価します。(状況に応じて大腸カメラ検査をおこない、大腸の詳細な状態も確認することがあります。)
これらの検査結果を総合的に判断し、虫垂炎の診断がおこなわれます。
5.虫垂炎の治療方法
軽度の虫垂炎の場合、まずは抗生物質を用いた内科的な薬物療法から開始されます。しかし、薬物療法で症状の改善が見られない場合は、外科手術を行うことも。
また、薬物療法で一時的に症状が緩和しても、再発のリスクが10〜35%程度あることにも注意が必要です。
虫垂炎の治療では、症状の程度に応じた適切な治療法を選択し、慎重に経過を観察していくことが重要となります。
6.まとめ
虫垂炎の初期症状として、みぞおち(心窩部)からおへそ周囲にかけての鈍い痛みが見られます。そして、以下のような順番で基本的に症状が進行します。
- おへそ周辺やみぞおちから痛みが出る
- 吐き気(悪心)や嘔吐が現れる
- 次第に痛みが右下腹部に移動する
- 37度前後の微熱から38度程度の発熱が見られる
虫垂炎は、早期発見と早期治療によって重症化を回避することが可能です。上記のような症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
浅草橋西口クリニックMoでは、急性虫垂炎に対するご相談を随時承っています。急な症状でお悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。
頴川博芸 エガワ ヒロキ 浅草橋西口クリニックMo 【経歴】 【資格・所属学会】
2016年 東海大学医学部医学科 卒業
2016年 順天堂大学医学部附属静岡病院 臨床研修医室
2017年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 入学
2018年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器・低侵襲外科
2021年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 修了
2021年 越谷市立病院 外科
2022年 順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科・消化器外科
2023年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科
2024年 浅草橋西口クリニックMo院長就任
日本専門医機構認定 外科専門医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
日本旅行医学会 認定医
東京都認知症サポート医
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本温泉気候物理医学会
日本腹部救急医学会
日本大腸肛門病学会
順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科 非常勤医師
難病指定医
小児慢性特定疾病指定医