メニュー

コーヒーは糖尿病の予防になる!血糖値との関係や適切な摂取量について

[2023.12.05]

「コーヒーで糖尿病って予防できるの?」「糖尿病とコーヒーの関係は?」などの疑問を持ったことはありませんか?実は、コーヒーは糖尿病の予防になるという研究結果が、世界中から報告されています。

そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。

  • なぜコーヒーが糖尿病予防になるのか
  • コーヒーと死亡リスクの関係
  • 糖尿病を予防するコーヒーの適切な摂取量
  • コーヒーで糖尿病を予防するためのおすすめな飲み方

記事の最後では、「すでに糖尿病を患っている人とコーヒーの関係」についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

1.コーヒーは糖尿病の予防になる!血糖値との関係

結論、コーヒーは2型糖尿病の予防になるといわれています。実際に、コーヒーの摂取が2型糖尿病予防に効果的であることが、複数の研究により示されているんです。

国立国際医療研究センターの2009年の「JPHC研究」では、1日に3〜4杯のコーヒーを飲む人が、コーヒーをあまり飲まない人に比べて2型糖尿病のリスクが男性で17%、女性で38%低いことが分かりました。

また、九州大学大学院の古野純典教授の研究では、16週間毎日5杯のインスタントコーヒーを飲んだ参加者の血糖値が平均13.1%低下したことが確認され、コーヒーが血糖値を下げる効果を持つ可能性が高いとされています。

 

2.なぜコーヒーが糖尿病予防になるのか

ではなぜ、コーヒーが糖尿病予防になるのでしょうか。主に、以下2つの成分が関係しています。

  • カフェイン
  • クロロゲン酸(ポリフェノール)

2-1.カフェインによる効果

コーヒーといえばカフェインのイメージが強いですよね。コーヒーでカフェインを摂取することで、基礎代謝率が3〜11%向上し、摂取量が増えるほどこの効果も強まるとされています。

「カフェインで基礎代謝が向上する=運動時の脂肪燃焼を促進する可能性がある」という考え方が有力です。これは、カフェインの代謝促進効果によるもので、体内でのエネルギー利用の効率化につながるとされています。

2-2.クロロゲン酸(ポリフェノール)による効果

クロロゲン酸はポリフェノールの一種で、コーヒー豆やじゃがいもなどに多く含まれています。この成分は、糖質の吸収を穏やかにする効果があり、血糖値の急激な上昇を防ぐことができるんです。

加えて、クロロゲン酸には抗酸化作用があるだけでなく、脂肪蓄積の抑制効果も報告されており、これらの特性から糖尿病や肥満の予防策としてサプリメントなどに応用されていることが増えています。

2-2-1.クロロゲン酸は肝機能にも好影響

クロロゲン酸は、肝臓の健康に好影響を及ぼします。クロロゲン酸は抗酸化作用を持ち、肝臓における糖新生の過程を抑制するんです。

さらに、クロロゲン酸は肝臓における中性脂肪の過度な蓄積を防ぐ効果があり、これによって脂肪肝の発症リスクを減少さます。脂肪肝は肝機能の障害につながり、メタボリックシンドロームや肝炎などのリスクを高めるため、これらの効果は非常に重要です。

 

3.コーヒーは死亡リスクの低下にもつながる

アメリカ国立がん研究所と他の研究機関が共同でおこなった研究によると、コーヒーの摂取が死亡率を低減する可能性が示唆されています。この研究では、「英国バイオバンク」のデータベースが利用されました。このバイオバンクは2006年に設立され、現在までに約920万人分の血液、DNAサンプル、生活習慣や身体活動に関する情報が収集されています。

研究チームが英国バイオバンクへ登録されている平均年齢57歳の男女「50万2,641人」のデータを分析したところ、コーヒーを定期的に飲むことが全死因の死亡リスクと逆相関を示すことがわかりました。

具体的には、コーヒーを全く飲まない人と比較して、以下のような結果が出ました。

1日に飲むコーヒーの量

軽減された死亡リスク

2〜3杯

12%

4〜5杯

12%

6〜7杯

16%

この研究により、コーヒーは死亡リスクの低下につながるとされています。

 

4.糖尿病を予防するコーヒーの適切な摂取量

では、糖尿病を予防するコーヒーの適切な摂取量は何杯なのでしょうか。注意点とともに解説していきます。

4-1.コーヒーの適切な摂取量

欧州食品安全機関(EFSA)は、健康を保つためにカフェインの摂取量を成人で1日400mg以下、1回につき200mg以下にすることを推奨しています。

一般的なコーヒーを基準にすると、1日に4〜5杯が適量です。また前述した「JPHC研究」も考慮すると、1日3〜5杯が適量といえるでしょう。

4-2.カフェインの摂りすぎは厳禁

コーヒーのカフェインを過剰に摂ると、不眠、神経過敏、心拍数の増加、高血圧、不整脈などの副作用が生じるリスクがあります。さらに、カフェインは血糖値を下げるインスリンの生成や効果にも影響を与えるとされています。

したがって、コーヒーを飲む際には、過剰摂取を避けることが重要です。体調に違和感を感じた時点で、同日にコーヒーを飲むことはやめるようにしてください。

 

5.コーヒーで糖尿病を予防するためのおすすめな飲み方

コーヒーで糖尿病を予防するためにおすすめな飲み方として、以下の3つをご紹介します。

  • 習慣的にコーヒーを飲む
  • ブラックコーヒーにする
  • 空腹時にコーヒーを飲むと血糖値がさらに下がる

5-1.習慣的にコーヒーを飲む

習慣的にコーヒーを飲むことが、血糖値に良い影響を与えます。

日本での研究では、8週間コーヒーを飲んだだけでは血糖値に目立った変化は見られませんでしたが、16週間継続すると血糖値に改善が見られたという報告があります。食事と共にコーヒーを飲むことで、食後の血糖値上昇を抑制につながります。

5-2.ブラックコーヒーにする

コーヒーにはできるだけ砂糖やガムシロップを入れず、ブラックの状態で飲むようにしてください。

特に、市販の缶コーヒーには砂糖が多く含まれており、血糖値を急激に上昇させることがあります。これは血糖コントロールの乱れや血管損傷、糖尿病以外の合併症のリスクを高めることに。

糖尿病予防の観点から、コーヒーは砂糖を加えないブラックで飲むことが推奨されます。

5-3.空腹時にコーヒーを飲むと血糖値がさらに下がる

カフェインは空腹時に血糖値を下げる効果があり、インスリンが分泌されていない時にコーヒーを飲むと、ミトコンドリアを活性化させます。これにより、空腹時のコーヒーは糖尿病予防効果が高まるとされています。

しかしながら、コーヒーに含まれるクロロゲン酸は胃腸の動きを抑制する可能性があり、空腹時に飲むと胃の動きが弱まることで、便秘や腹痛・吐き気などの副作用を引き起こすリスクも。そのため、空腹時のコーヒー摂取には注意が必要です。

 

6.【注意】糖尿病患者はコーヒーで血糖値が上がるリスクがある

一方で、すでに2型糖尿病を患っている患者がコーヒーを飲むと血糖値が上昇する可能性があることが、2型糖尿病患者10人を対象にした研究で明らかになりました。この研究では、1日に500mgのカフェインを摂取した場合、血糖値が平均8%、特に夕食後は26%上昇しました。

糖尿病治療薬とカフェインの相互作用で血糖値の調節が難しくなること、カフェインが血圧を上昇させる効果もあるため、糖尿病患者はコーヒーだけでなく、他のカフェイン含有飲料の摂取にも注意が必要です。

 

7.まとめ

いかがでしょうか。

コーヒーを毎日飲むことで、糖尿病のリスクを抑えられます。ですが飲み過ぎには注意が必要で、1日3〜5杯までを限度とし、コーヒーによって体調不良が起きた場合はすぐに飲むのをやめましょう。

また、コーヒーを飲むときはできる限りブラックのものを習慣的に飲むようにしてください。

浅草橋西口クリニックMoでは、糖尿病をはじめさまざまな症状を診断させていただいております。体の不調でお悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。

このコラムの監修者

頴川博芸 エガワ ヒロキ

浅草橋西口クリニックMo

【経歴】
2016年 東海大学医学部医学科 卒業
2016年 順天堂大学医学部附属静岡病院 臨床研修医室
2017年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 入学
2018年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器・低侵襲外科
2021年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 修了
2021年 越谷市立病院 外科
2022年 順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科・消化器外科
2023年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科
2024年 浅草橋西口クリニックMo院長就任

【資格・所属学会】
日本専門医機構認定 外科専門医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
日本旅行医学会 認定医
東京都認知症サポート医
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本温泉気候物理医学会
日本腹部救急医学会
日本大腸肛門病学会
順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科 非常勤医師
難病指定医
小児慢性特定疾病指定医

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME