メニュー

切り傷を早く治すための応急処置手順!病院に行くべき目安も解説

[2024.04.08]

切り傷ができたとき、正しい治し方を知っている方は、意外と少ないのではないのでしょうか。切り傷は正しい手順をとることで、治りを早くすることが可能です。

そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。

  • 切り傷の治し方・応急処置の手順
  • 切り傷に対する薬の選び方
  • 切り傷を治したいときに注意すべき点
  • 病院に行くべき切り傷とは?

この記事を読むことで、切り傷に対する正しい対処法を理解できます。切り傷の治し方を詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

1.切り傷の治し方・応急処置の手順

切り傷ができたときは、正しい手順で処置をおこなうことでできるだけ早く治すことが可能です。以下で解説する手順に従い、応急処置をしてください。

1-1.手順①傷口をよく洗う

切り傷ができたときは、まず傷口をよく洗って清潔を保ってください。水道水や生理食塩水を使って傷口をよく洗い流し、砂や小石などの異物や細菌を取り除きます。

水だけでは除去が難しい場合は、清潔な布やガーゼ、綿棒などを使って丁寧に取り除くようにしましょう。傷口を清潔に保つことで、感染のリスクを最小限に抑えることができます。

1-2.手順②止血する

傷口から出血がある場合は、清潔なタオルやガーゼ、ティッシュペーパーなどを使って傷口を直接圧迫し、止血を図ります。

圧迫する際は、タオルやガーゼに繊維や異物が付着していないことを確認し、傷口を清潔に保つように注意しましょう。2~3分ほど圧迫しても出血が止まらない場合は、医療機関を受診することをおすすめします。適切な方法で止血することで、出血による合併症を防げます。

1-3.手順③傷口を保護する

傷口を洗浄し止血したあとは、救急絆創膏などを使って傷口を保護します。絆創膏は傷口の端までしっかりと貼り、外部からの刺激や細菌の侵入を防ぎましょう。

より早く、きれいに治癒させたい場合は、治癒タイプの絆創膏がおすすめ。これらの絆創膏は、傷口の環境を最適に保ち、かさぶたを作らずに皮膚の再生を促進します。

1-4.手順④経過を観察する

切り傷の処置後は、新しい皮膚が再生され傷口が完全に閉じるまで、経過を観察してください。観察の際は、傷口に膿や腫れ、異臭などの感染の兆候がないかを確認しましょう。

絆創膏が濡れたり、剥がれたりした場合は、傷口とその周囲を再度洗浄し、新しい絆創膏に貼り替えるようにしましょう。傷口を清潔に保つことで感染を防ぎ、治癒に適した環境を整えることで、切り傷の早期回復を促すことが可能です。

 

2.切り傷に対する薬の選び方

ここからは、切り傷に対しての薬の選び方として「塗り薬」と「絆創膏」の2つに分けて解説していきます。

2-1.塗り薬の選び方

切り傷の治療に使用する塗り薬は、傷の状態に応じて適切なものを選ぶことが重要です。抗菌作用のある成分が含まれている塗り薬は、化膿している傷口に効果的です。クロラムフェニコールやフラジオマイシン硫酸塩などの抗生物質が配合されている製品が代表的です。

一方、傷口の化膿が落ち着いてきた場合は、保湿効果や治癒促進作用のある成分を含む塗り薬がおすすめです。たとえば、アラントインは傷口の修復を促進する作用があるため、治癒段階に適しています。

2-2.絆創膏の選び方

切り傷の保護に用いる絆創膏は、傷の状態や滲出液の量に応じて、適切なタイプを選ぶことが大切です。絆創膏には、特殊な湿潤療法ができる創傷被覆剤と、ガーゼを当てるタイプの一般的な絆創膏があります。

傷口から滲出液が出ている場合は、湿潤環境を維持して治癒を促進する創傷被覆剤がおすすめ。通常の絆創膏で滲出液を吸収してしまうと、傷口が乾燥しすぎて治癒が遅れるリスクがあるためです。ただし、創傷被覆剤を使用する際は、傷口を清潔に洗浄してから貼るようにしましょう。不十分な洗浄は細菌感染のリスクを高めます。

一方、紙で切った程度の軽い切り傷で、滲出液があまり出ない場合は、一般的な絆創膏で十分でしょう。傷口を保護するだけでも痛みの軽減につながります。

 

3.切り傷を治したいときに注意すべき点

切り傷を治したいとき、注意すべき点があります。以下の4点です。

  • 患部を消毒しない
  • 患部を乾燥させない
  • 止血は必ず患部を抑える
  • 水に浸かるときは絆創膏で傷口を保護する

これらを意識することで、傷の治りをより早くできます。それぞれ見ていきましょう。

3-1.患部を消毒しない

切り傷の治療において、患部を消毒しないようにしましょう。消毒液には、傷の治癒に必要な細胞や組織を傷つける作用があります。

強い消毒液を使用すると、傷口の健康な細胞まで傷害を受け、治癒に重要な役割を担う細胞の数が減少してしまいます。その結果、傷の回復が遅れたり、傷跡が残りやすくなったりするリスクがあります。

切り傷のケアは、流水で傷口をしっかりと洗浄し、異物や細菌を取り除くことが最も効果的です。傷口を清潔に保ち、自然治癒力を最大限に活かすことが、早期回復につながります。

3-2.患部を乾燥させない

切り傷ができたら、傷口が適度に潤った状態を保ってください。乾燥した状態よりも適度な湿度を維持したほうが、傷の治癒が早まります。

ただし、傷口を湿らせるために食品用ラップを使用するのは避けましょう。ラップの下で細菌が繁殖しやすく、重篤な感染症を引き起こす可能性があるためです。

適度な湿潤環境を保つには、医療用の創傷被覆材や湿潤環境を維持する特殊な絆創膏を使用するのがおすすめです。

3-3.止血は必ず患部を抑える

切り傷からの出血を止める際は、指の根元を輪ゴムで縛るといった方法は避けましょう。血流を阻害することで、うっ血や神経損傷を引き起こす可能性があるためです。

清潔なガーゼや布で傷口を直接圧迫し、約10分間、傷口を抑え続けてください。

3-4.水に浸かるときは絆創膏で傷口を保護する

日常生活で発生する軽度のすり傷であれば、入浴やプールなどを控える必要はありませんが、傷が水に触れることで痛みを感じる場合があります。不安な場合は、防水性の高い絆創膏を貼るのがおすすめです。

ただし、長時間の水との接触により、絆創膏が剥がれたり、皮膚がふやけたりすることも。その場合は、水から上がったあとに必ず水道水で傷とその周囲を十分に洗浄し、新しい絆創膏に貼り替えましょう。

 

4.病院に行くべき切り傷とは?

切り傷の応急処置をおこなったあと、病院に行くべきケースもあります。以下のようなケースです。

  • 感染が見られる場合
  • 傷口が深い場合
  • 異物が混入している可能性のある場合
  • 持病がある場合
  • なかなか傷が治らない場合

それぞれ解説していきます。

4-1.感染が見られる場合

切り傷が感染している可能性がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。感染の兆候として、傷口の強い痛み、腫れ、熱感などがあげられます。また、汚染された環境で傷を負った場合も、感染のリスクが高まります。

感染した切り傷の治療には、抗生物質の内服や外用が必要となるケースがほとんどです。感染が進行すると、重篤な合併症を引き起こす可能性もあるため、早期の受診が不可欠です。

感染の兆候が見られる場合は、躊躇せずに医療機関を受診し、専門家の診断と治療を仰ぐことが賢明です。

4-2.傷口が深い場合

切り傷が深い場合や、汚染がなくても縫合処置が必要な場合は、皮膚科、外科、形成外科などのクリニックや病院への受診が推奨されます。縫合処置により、傷口の治癒が早まり、きれいに治る可能性が高くなります。

特に、鋭利な刃物で負った切り傷は、受傷から6時間以内に洗浄と縫合を行うことで、感染を防ぎ、傷跡をきれいに治せる可能性が高まります。また、神経や腱、関節、内臓の損傷が疑われる場合は、クリニックでは対応が難しいことが多いため、画像診断が可能な病院を受診することが望ましいでしょう。

包丁で指を切った場合の対応については、包丁で指を切ったときの病院に行く目安とは?何科を受診すべき?の記事を参考にしてください。

4-3.異物が混入している可能性のある場合

切り傷に異物が混入している可能性がある場合、特にガラスによる切り傷では、肉眼では確認できないガラス片が残っていることがよくあります。このような場合、傷口が治りにくくなるため、医療機関での処置が必要です。

医療機関では、拡大鏡を用いて傷口を詳細に観察し、異物を念入りに取り除く処置がおこなわれます。異物の残存は、感染のリスクを高めるだけでなく、治癒の遅延や傷跡の形成にもつながるため、徹底した除去が重要です。

4-4.持病がある場合

切り傷の治療において、心筋梗塞や脳梗塞などの持病がある場合は注意が必要です。持病により抗凝固薬などの血液をサラサラにする薬を服用している場合、出血が止まりにくい可能性があります。

抗凝固薬は、血栓の形成を防ぐために処方されますが、同時に止血機能にも影響を与えます。そのため、切り傷を負った際に出血が長引き、自然に止血しにくい状態になることがあります。

持病があり切り傷からの出血が止まらない場合は、医療機関にて服用中の薬剤について医師に伝え、適切な治療方針を決定してもらうことが賢明でしょう。

4-5.なかなか傷が治らない場合

切り傷は通常、修復過程に問題がなければ、1週間から2週間程度で治癒します。多くの場合、1週間以内に治癒が完了しますが、1週間経っても治らない場合は、修復過程に何らかの問題があると考えられます。

傷口がジクジクしてきたり、白く汚い感じになってきたりする場合は、治癒が妨げられている可能性があります。また、感染の兆候がある場合も、治癒が遅れる原因となります。

切り傷がなかなか治らない場合は、自己判断で対処するのではなく、速やかに医療機関を受診しましょう。専門家による適切な診断と治療により、傷の治癒を促進することができます。

 

5.まとめ

切り傷を治すときは、以下の手順で応急処置をおこなってください。

  1. 傷口をよく洗う
  2. 止血する
  3. 傷口を保護する
  4. 経過を観察する

正しく応急処置をおこなうことで、傷の治りを早めることが可能です。また患部は消毒せず、乾燥させないようにしましょう。

切り傷に感染が見られる場合や、傷口が深い場合などは、自己判断せずに医療機関を受診してください。できるだけ早く医師から正しい処置を受けることが、切り傷治療の鍵となります。

浅草橋西口クリニックMoでは、切り傷や擦り傷に対する診断・処置をおこなっています。急な怪我でお悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。

このコラムの監修者

頴川博芸 エガワ ヒロキ

浅草橋西口クリニックMo

【経歴】
2016年 東海大学医学部医学科 卒業
2016年 順天堂大学医学部附属静岡病院 臨床研修医室
2017年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 入学
2018年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器・低侵襲外科
2021年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 修了
2021年 越谷市立病院 外科
2022年 順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科・消化器外科
2023年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科
2024年 浅草橋西口クリニックMo院長就任

【資格・所属学会】
日本専門医機構認定 外科専門医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
日本旅行医学会 認定医
東京都認知症サポート医
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本温泉気候物理医学会
日本腹部救急医学会
日本大腸肛門病学会
順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科 非常勤医師
難病指定医
小児慢性特定疾病指定医

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME