メニュー

お尻に粉瘤ができたときの治し方!治療法や何科を受診すべきか解説

[2024.10.28]

お尻に見慣れないしこりができたとき、それは粉瘤の可能性があります。粉瘤は自然治癒することなく、放っておくと徐々に大きくなっていきますから、早めに対処法をしっておきたいところです。

そこでこの記事では、以下の内容について解説しています。

  • 粉瘤の概要
  • お尻にできた粉瘤は自力で治せる?
  • お尻にできた粉瘤の治療法

記事の後半では、お尻にできやすい粉瘤以外の皮膚疾患についても、その特徴と治療法を解説しています。お尻にできたしこりでお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

1.そもそも粉瘤とは?

粉瘤は、お尻に限らず背中や顔など基本的にどこにでもできる皮膚疾患です。皮膚内部に袋状の嚢腫ができ、そこに角質・皮脂が溜まることで大きくなっていきます。

粉瘤の場合、通常はターンオーバーにて体外へ排出されていく角質や皮脂が、袋の中に蓄積してしまうのです。

関連記事:粉瘤とは?できやすい人の特徴はある?治療方法や予防法なども解説

1-1.お尻にできる粉瘤の種類

お尻にできる粉瘤の種類として、通常の粉瘤の他に炎症性粉瘤についても解説していきます。

1-1-1.通常の粉瘤

粉瘤は通常、表皮嚢腫やアテローマとも称される良性の腫瘍です。これらは皮膚表面に丸い盛り上がりとして現れ、大きさは数ミリから始まります。長期にわたり放置すると、10cm以上に肥大することもあります。

中心部には小さな黒点が見え、これが開口部です。この開口部からは時折、不快な臭いを放つこともあります。粉瘤の中身は、皮膚下の袋状の組織に溜まった垢や皮脂などの老廃物です。原因は完全には解明されていませんが、ウイルス感染や外傷が関連していると考えられています。

1-1-2.炎性症粉瘤

炎症を伴う粉瘤は、赤みを帯び、痛みを感じることが一般的です。これを炎症性粉瘤といい、主な原因は袋の内容物が皮膚内に漏れ出ること、細菌感染、異物反応などがあります。

粉瘤の袋内は老廃物が溜まるため、細菌の繁殖地となり得ます。放置すると、重大な合併症を引き起こす可能性があり、時には悪性化する危険もありますので、早めに治療するべきです。

1-2.粉瘤は予防できる?

粉瘤の予防に、確実な方法は存在しないとされています。一般的には、健康を維持することが推奨されますが、皮膚の体質に左右されることが多いです。

一度形成された粉瘤は自然に消えることはありません。発見次第すぐに専門医へ相談しましょう。

 

2.お尻にできた粉瘤は自力で治せる?

お尻にできた粉瘤を自力で治そうとすることはおすすめできません。自宅での処置として一般的な針を使った潰し方は、非常に危険です。粉瘤内の内容物が外に排出される代わりに、外部からの細菌が傷口に侵入しやすくなり、感染症を引き起こすリスクが高まるためです。

感染が進行すると、患部が赤く腫れあがり、痛みを伴うこともあります。

さらに、自力で粉瘤を潰す行為は、粉瘤の袋が皮膚に癒着してしまう可能性があり、再発しやすくなる場合があります。正しい治療を受けるためには、専門の医療機関での診断と手術が必要です。

関連記事:粉瘤を自分で潰すとどうなる?リスクや治し方について解説

 

3.お尻にできた粉瘤の治し方・治療法

前述したとおり、お尻にできた粉瘤は必ず専門医に診てもらい、適切な治療を受けるようにしてください。ここでは、2つの手術方法を中心に治療について解説していきます。

3-1.2つの手術方法

粉瘤では、主に以下2つの手術方法があります。

  • くりぬき法
  • 切開法

詳しくみていきましょう。

3-1-1.くりぬき法

くりぬき法は、小さな丸い刃を使って皮膚に穴を開け、粉瘤とその袋を丸ごと取り除く手術方法です。

この方法は、特に小さな粉瘤に適しており、手術後の傷跡がほとんど残らないため、見た目を重視する方におすすめです。また、手術時間も短く、多くの場合は5分程度で終了します。

粉瘤の位置や大きさによって適用できるかどうかが決まるので、医師によく相談してみましょう。

3-1-2.切開法

切開法は、粉瘤が大きく腫れ上がった場合に選択されることが多い手術方法です。粉瘤の上の皮膚を楕円形に切開し、中の袋と内容物を完全に除去します。比較的大きな粉瘤や、炎症を繰り返している場合に適しており、徹底的に摘出することで再発のリスクを低減します。

切除後は縫合を行い、適切なケアと経過観察によって傷跡も目立たなくなります。

3-2.お尻に粉瘤ができたときは何科を受診すべき?

お尻に粉瘤ができたときは、「形成外科」を受診するようにしてください。前述したように、粉瘤の治療では外科手術が必要になるためです。

粉瘤自体は皮膚科でも診察可能ですが、その後の手術のことを考えたとき、少しでも手術の傷を残したくないのであれば、形成外科がおすすめといえます。

3-3.お尻の粉瘤は日帰りで手術可能

お尻にできた粉瘤でも、日帰りで手術が可能な場合がほとんどです。

手術自体は数十分から1時間程度で完了し、通常はその日のうちに帰宅していただけます。そのため、長期の入院が難しい方や、仕事や家庭の都合で入院を避けたい方も安心して手術を受けていただけます。

万が一、全身麻酔が必要な複雑なケースや悪性の疑いがある場合には、提携先の大学病院への紹介もおこなっていますので、まずは診察にお越しください。

3-4.手術に痛みはある?

お尻の粉瘤の摘出手術には「切開法」と「くりぬき法」がありますが、どちらの方法も局所麻酔を使用するため、手術中の痛みはほとんど感じません。局所麻酔は、手術部位の感覚を一時的に失わせるため、多くの患者様が痛みを心配されますが、実際には歯医者での処置時の麻酔と同程度であり、ほとんどの方が気にならないレベルです。

手術後の回復も早く、局所麻酔の効果が消えた後の違和感も最小限に抑えられます。

 

4.お尻にできやすい粉瘤以外の皮膚疾患

お尻には、粉瘤と似たその他の皮膚疾患ができることもあります。主に以下の3つです。

  • ニキビ
  • おでき
  • 毛巣洞

それぞれの症状や特徴について、詳しく解説していきます。

4-1.ニキビ

粉瘤と一番勘違いしやすいのが、ニキビです。お尻にできるニキビは、顔のニキビと同様に毛穴のつまりが原因で起こります。

ニキビは通常、粉瘤の特徴である中心の黒い点が見られないことが特徴です。見分ける際の参考にしてください。

また、ニキビはホルモンの変動や不規則な生活、摩擦や圧迫が繰り返されることが原因で起こりやすくなります。定期的なスキンケアと清潔を保つことが重要であり、予防としては適切なスキンケア製品の使用や通気性の良い衣服を選択することで、ある程度予防できるでしょう。

4-2.おでき

おできは細菌感染によって発生し、しこりの形成とともに痛みを伴います。糖尿病患者や肥満体型の方に見られることが多く、特に免疫力が低下している人に発生しやすい状態です。

この症状は粉瘤と見間違えられやすいですが、粉瘤に比べて痛みが早めに出やすい点が、見分ける手がかりとなります。

おできが疑われる場合、自己判断せずに専門医の診断を受けることが推奨され、必要に応じて抗生物質の処方や手術的な治療を受けるようにしてください。

4-3.毛巣洞

毛巣洞は、特に体毛が濃い人や長時間座り続ける人に見られる症状で、毛が皮膚に埋もれることで引き起こされます。主に尾骨の近くや脇の下など、毛が密集している部位に発症しやすいです。

感染が進むと炎症や痛み、膿の排出を引き起こすことがあり、場合によっては手術が必要となることもあります。痔瘻や他の皮膚疾患との混同を避けるためにも、異常を感じた際は速やかに医師の診断を受けるようにしましょう。

関連記事:粉瘤の見分け方とは?粉瘤とニキビ・イボ・せつ・脂肪腫・痔ろうの違い

 

5.まとめ

粉瘤は、顔や背中などどこにでもできる皮膚疾患の一つで、もちろんお尻にもできることがあります。

お尻にできた粉瘤は、放置することで徐々に大きくなっていき、自然治癒することはありません。さらに症状が進むと「炎症性粉瘤」となり、痛みが伴うことも十分にあり得るため、なるべく早めに病院でみてもらうようにしてください。

浅草橋西口クリニックMoでは、粉瘤をはじめとしたさまざまな皮膚疾患に対しての診療をおこなっています。「皮膚にできものができた」「炎症が起きて痛い」などのお悩みがある方は、ぜひ一度当院へご相談ください。

このコラムの監修者

頴川博芸 エガワ ヒロキ

浅草橋西口クリニックMo

【経歴】
2016年 東海大学医学部医学科 卒業
2016年 順天堂大学医学部附属静岡病院 臨床研修医室
2017年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 入学
2018年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器・低侵襲外科
2021年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 修了
2021年 越谷市立病院 外科
2022年 順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科・消化器外科
2023年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科
2024年 浅草橋西口クリニックMo院長就任

【資格・所属学会】
日本専門医機構認定 外科専門医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
日本旅行医学会 認定医
東京都認知症サポート医
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本温泉気候物理医学会
日本腹部救急医学会
日本大腸肛門病学会
順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科 非常勤医師
難病指定医
小児慢性特定疾病指定医

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME