訪問診療を受けるには?対象となる条件や訪問診療を受けるまでの流れ
訪問診療を受けたいと思ったときに、気になるのが「自分や家族は訪問診療の対象となるのか?」ということではないでしょうか。
そこでこの記事では、以下の内容を解説していきます。
- 訪問診療を受けるには?対象となる条件
- 【パターン別】訪問診療を受ける方法
- 訪問診療で受けられる治療内容
- 訪問診療を受けるまでの流れ
この記事を読むことで、訪問診療を受けるための条件や受けるまでの流れを理解できます。訪問診療を受けたいとお考えの方やそのご家族の方は、ぜひ最後までご覧ください。
1.そもそも訪問診療とは?
まずは訪問診療について簡単にご説明します。訪問診療とは、医師が患者の方の自宅や施設を定期的に訪問し、治療を提供するサービスです。月に2回程度あらかじめ決められたスケジュールで治療がおこなわれます。
病院やクリニックなどの医療機関ではなく、患者の方が慣れ親しんだ自宅や施設で治療を受けられるため、患者の方やその介護者の方の負担が軽減される点が大きなメリットです。
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2.訪問診療を受けるには?対象となる条件
訪問診療を受けるには、いくつかの条件があります。訪問診療の対象となる主な条件は、以下の通りです。
- 病気や障害により歩行が困難な方
- 寝たきり状態で移動が制限される方
- 人工呼吸器といった医療機器の装着により移動が困難な方
- 終末期の療養を自宅で希望する方
- 退院後の継続的な医療ケアが必要な方
たとえば、脳卒中の後遺症で歩行が困難になった高齢者の方や、進行性の難病により徐々に外出が難しくなった方などが、訪問診療の対象となります。また、がんを患っている方で自宅での緩和ケアを希望する場合も、訪問診療を利用することができます。
一方で、一人で通院可能な方や、家族の付き添いがあれば通院できる方は、原則として訪問診療の対象とはなりません。かかりつけ医や地域の医療相談窓口に相談し、自身の状況が訪問診療の対象となるかどうか、専門家へ相談してみてください。
3.【パターン別】訪問診療を受ける方法
以下5つのパターン別に、訪問診療を受ける方法について解説していきます。
- 退院後に在宅医療を希望される場合
- 通院中の場合
- 次第に症状が悪化し通院が困難になった場合
- 在宅で最期を迎えたいとお考えの場合
- インターネットや自宅周辺で探す場合
それぞれ見ていきましょう。
3-1.退院後に在宅医療を希望される場合
退院後の在宅医療を希望する場合、医療ソーシャルワーカーや看護師が常駐する病院内の「地域連携室」や「医療連携室」などに相談することをおすすめします。在宅医療をおこなう医師の紹介や、必要なサービスの調整をおこなってくれます。
また、在宅医療に移行しても、以前の主治医との関係を継続することが可能です。在宅医療中に入院が必要になった場合は、元のかかりつけ病院に入院することもできます。
3-2.通院中の場合
通院中の訪問診療への移行は、まずは主治医に相談してみましょう。
また、病院の「地域連携室」に相談し、在宅でのかかりつけ医を紹介してもらうのもおすすめです。新しいかかりつけ医を受診する際は、以下の点に注意してください。
- 主治医からの紹介状を持参する
- これまでの治療経過や現在の状態を詳しく伝える
- 在宅医療に対する希望や不安を率直に相談する
3-3.次第に症状が悪化し通院が困難になった場合
症状の悪化により通院が困難になった場合、まずはかかりつけ医に相談してください。近年、外来診療だけでなく訪問診療もおこなう診療所が増えてきました。
長年の信頼関係があるかかりつけ医であれば、たとえ直接の訪問診療が難しくても、適切な医療機関や在宅サービスを紹介してくれるでしょう。
3-4.在宅で最期を迎えたいとお考えの場合
がんをはじめとした重篤な疾患の終末期、あるいは難病や重度障害の場合、住み慣れた自宅で最期を迎えたいと考える方も少なくありません。訪問診療であれば、このような希望を実現することができます。
在宅での看取りを希望する場合、以下の点に注意してください。
- 24時間対応可能な在宅医療チームの確保
- 介護のサポート体制の整備
- 緊急時の対応方法の確認
医療機関や地域の在宅医療支援センターに相談し、患者の方とご家族の希望に沿った看取りのプランを立てることが大切です。
3-5.インターネットや自宅周辺で探す場合
インターネットで検索する場合、各都道府県医師会のウェブサイトなどで在宅医療をおこなう医療機関を検索できます。ただし、ウェブサイトの情報だけでは不十分な場合もあります。必ず電話や直接訪問にて、訪問診療の詳細を確認しましょう。
自宅周辺で探すのであれば、現在の主治医からの紹介状を持参して相談すると、より詳細な情報共有が可能です。在宅医療の相談窓口として、以下のような機関に相談してみてください。
- 市役所の介護・福祉窓口
- 地域包括支援センター
- 地域の医師会
4.訪問診療で診察可能な疾患と受けられる治療について
ここでは、訪問診療で診察可能な疾患と受けられる治療について解説していきます。
4-1.訪問診療で診察可能な疾患
当院の訪問診療では、以下のような疾患に対しての診察を実施しております。
- 悪性腫瘍
- 神経疾患
- 呼吸器疾患
- 心血管疾患
- 消化器疾患
- 腎泌尿器疾患
- 皮膚疾患
- 整形外科疾患 など
クリニックによって対応できる診察可能な疾患が異なるため、事前に確認してください。
4-2.訪問診療で受けられる治療
訪問診療では、以下のような治療を受けられます。(以下は、当院で実施している治療内容です。)
- 在宅酸素療法
- 人工呼吸器管理
- 気管カニューレ管理
- 胸水穿刺、胃瘻(交換・管理)・腸瘻管理
- 中心静脈栄養カテーテル管理(CVポート)
- 人工肛門管理、腹水穿刺、尿道カテーテル管理
- 腎瘻管理
- デブリードメント など
治療内容は、訪問診療を実施している病院やクリニックによって対応が異なります。事前に確認しておきましょう。
5.訪問診療を受けるまでの流れ
訪問診療を受ける際は、主に以下3つの流れに沿って進んでいきます。
- 問い合わせ
- ご面談及びご要望の確認
- ご契約
一つずつ解説します。
5-1.①問い合わせ
訪問診療の利用を希望される方は、まず医療機関への問い合わせをおこなってください。以下のような方法で、医療機関への問い合わせが可能です。
- ケアマネージャーや施設担当者を通じて医療機関への連絡
- 医療機関の訪問診療部門への直接連絡
- 入院中の場合は病院の医療連携室を介しての相談
たとえば退院後の在宅療養を検討している方は、入院先の病院のソーシャルワーカーに相談することで、適切な訪問診療サービスの紹介を受けられます。
5-2.②ご面談及びご要望の確認
問い合わせ後、訪問診療の開始に向けて具体的な面談がおこなわれます。
面談では、患者さんとご家族の要望、必要な医療サービスの詳細、そして患者さんの健康状態と家庭環境などが確認されます。
面談で得られた情報を基に治療方針が策定され、患者の方とご家族の同意を得た上で、訪問診療の開始時期を決定します。
5-3.③ご契約
面談の内容に同意があり次第、正式な契約の開始です。また必要に応じて、介護保険サービスとの連携や医療費の概算などについても説明がおこなわれます。
スケジュールを決定次第、医師による訪問が開始されます。
6.緊急時は往診による対応が可能
訪問診療を受けている患者の方でも、急な病状の悪化に見舞われることがあります。そのような緊急時には、往診による迅速な対応が可能です。特に「在宅療養支援診療所」等の指定を受けている医療機関では、24時間365日の対応体制を整えています。
緊急時には、電話での症状確認や指示、緊急往診の実施、必要に応じた救急車の要請などがおこなわれます。ただし、往診のみの利用は原則として認められません。日頃の健康状態を把握していないと、緊急時に適切な判断や治療が難しいためです。
6-1.往診は別途料金がかかる
往診は、通常の訪問診療料とは別に往診料が加算されます。往診にかかる費用は、往診の時間帯や診療の内容によって変動します。
さらに、医療機関によっては実費での交通費が請求されることもあるため、事前に担当の医療機関へ確認しておくことが重要です。
7.まとめ
訪問診療は、誰でも受けられるサービスではありません。以下のような状況の方が対象となります。
- 病気や障害により歩行が困難な方
- 寝たきり状態で移動が制限される方
- 人工呼吸器といった医療機器の装着により移動が困難な方
- 終末期の療養を自宅で希望する方
- 退院後の継続的な医療ケアが必要な方
自身やご家族が対象となるかどうかは、通院中の病院に設置されている「地域連携室」「医療連携室」や、主治医などに相談してみてください。
浅草橋西口クリニックMoでは、台東区・中央区・千代田区・墨田区などを中心に訪問診療サービスを提供しています。お近くにお住まいで訪問診療を検討されている方は、ぜひ当院まで。
当院の訪問診療については、「東京都台東区周辺の訪問診療・在宅医療」のページをご覧ください。