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糖尿病かと思ったらどうする?初期症状や何科を受診すべきかなど解説

[2024.01.04]

「糖尿病かもと思ったらどうすればいい?」「糖尿病かもしれないけど、何をすれば良いかわからない」と考えたことはありませんか?糖尿病かもと思ったときに適切な対応をすることで、症状の悪化を防げます。

そこでこの記事では、「糖尿病かも…」と思ったときにどのように行動すべきなのか、以下の内容によって解説をしていきます。

  • 糖尿病かと思ったときの対応や検査について
  • 糖尿病によく見られる症状
  • 糖尿病を早めに発見する方法はある?

糖尿病は、早期発見と早期治療が重要です。この記事を読んで、正しい行動を理解し、できるだけ適切に対応を進められるようにしましょう。

 

1.糖尿病かと思ったらどうする?

糖尿病かもと思ったら、できるだけ早く医療機関で診察を受けることが重要です。症状や健康診断で異常が見られた場合は、内科や糖尿病内科を受診し、血糖値やHbA1cの検査を受ける必要があります。

ここからは、何科を受診すべきか、どのような検査があるのかを解説します。

1-1.糖尿病かと思ったときは何科を受診すべき?

糖尿病の診断に関わる科は内科、泌尿器科、眼科、外科などがあります。特に、糖尿病に特化した内科や糖尿病内科では包括的な検査と治療を受けることができます。それぞれの科で可能な検査は以下の通りです。

糖尿病内科

血糖値・HbA1c測定、尿糖検査、コレステロールと中性脂肪測定、血圧測定、インスリン分泌量検査、視力・視野測定、眼底検査、超音波検査など

眼科

糖尿病性網膜症のチェックをはじめとした目の合併症の確認

外科

合併症による足病変の手術、減量手術など(糖尿病と肥満の管理にも関わる)

泌尿器科

尿検査や血液検査を用いた診断

腎機能障害の確認や治療

糖尿病の疑いがある場合は、早期にこれらの科のいずれかを受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

1-2.血液・尿の検査で糖尿病か確認できる

糖尿病の検査では、主に血液・尿の検査がおこなわれます。

糖尿病の診断に用いられる血液検査では、以下の2つが調べられます。

血糖値

血中のグルコース(糖)濃度を測定します。食前と食後の数値を比較することで、インスリンがどの程度効果的に血糖値を調節しているかを評価できます。

HbA1c

過去1〜2ヶ月間の平均血糖値を示す指標です。一時的な生活習慣の変更で血糖値が下がっても、HbA1cの値は短期間では大きく変わりません。

さらに、インスリンの分泌や効果を評価するための追加検査には以下があります。

血中インスリン

体内で分泌されるインスリンの量を測定します。

C-ペプチド

インスリンの分泌量を評価し、その機能不全が糖尿病の原因であるかどうかを判断します。

これらの検査は、糖尿病の診断、治療方針の決定、管理のために不可欠です。

また、糖尿病の診断には尿検査も役立ちます。

尿中アルブミン

腎機能障害の兆候として、尿中アルブミンを検出することで、糖尿病による腎損傷の早期発見に貢献します。

尿検査によって尿中アルブミンが検出された場合、将来的な透析のリスクが高まる可能性があります。そのためなるべく早く検査をおこない、早期治療を進めることが重要です。

1-2-1.検査結果がわかるまでの期間

糖尿病の血液検査結果の所要時間は医療機関の設備によって異なります。

大規模な病院では、院内の検査センターで30分から1時間程度で血糖値やHbA1cの結果が得られることがあります。一方、インスリンやCペプチドなどの詳細な検査には最大で1週間かかることもあります。

小規模なクリニックの場合は、検査結果を得るために数日かかることが多いですが、糖尿病診療に特化したクリニックでは、特別な機器を用いて数分で血糖値やHbA1cの結果を提供する場所もあります。

1-2-2.検査にかかる費用

医療機関で受ける糖尿病の検査は保険適用となり、患者負担は大体3割です。具体的な費用は状況により異なりますが、一般的には3,000〜4,000円程度が多いです。

ただし、保険適用の範囲内での検査内容や施設によって費用は変動します。

1-3.糖尿病かと思ったあとに病院を受診するタイミング

「糖尿病かも」と思ったら、できるだけすぐに医療機関を受診してください。糖尿病は急激ではなく徐々に血糖値が上昇し、正常・予備軍・糖尿病の三段階を経て診断されます。

病院では先述した検査がおこなわれ結果が分かるため、糖尿病かもしれないという不安がある方は、出来るだけ早く受診することでその不安も取り除けます。

 

2.糖尿病によく見られる症状を理解しよう

糖尿病は自覚なく進行することが多く、初期症状が現れたときにはすでに血糖値が高まっていることが多くなっています。そのため自覚症状を把握し、早期発見をできるようにしておきましょう。

2-1.糖尿病の自覚症状

糖尿病でよく見られる自覚症状としては、以下のようなものがあります。

症状

詳細

のどの渇きや頻尿が見られる

異常なのどの渇きを感じ、頻繁に水分を摂取するようになります。これに伴い、尿の量も増加します。

高血糖状態でブドウ糖が尿に排出されることが多くなり、それにより体から水分が引き出され脱水症状を招くためです。

倦怠感と疲労感がある

特に活動をしていなくても、体が重く感じられ、容易に疲れを感じます。

体がブドウ糖を効率的にエネルギーとして利用できないため、エネルギー不足になっている状態です。

食べていても体重が減っている

食事量が増えても体重が減少するのは、糖尿病の特徴的な症状の一つです。

一般的に糖尿病は肥満と関連していると思われがちですが、進行した糖尿病では体が必要なエネルギーを補うために筋肉や脂肪を消費し始めるため、体重が減少します。

これらの症状が疑われる場合は、すぐに医師に相談するようにしてください。糖尿病と頻尿については、糖尿病で頻尿になる原因とは?トイレが近くなるその他の要因も解説の記事をご覧ください。

 

2-2.糖尿病の合併症

糖尿病を放置すると、高血糖により合併症が進行していきます。糖尿病による合併症としては、以下のようなものがあります。

症状

詳細

視覚障害

糖尿病網膜症が原因で、視力の低下や視野の一部が欠けるなどの視覚障害が発生します。

重症化すると、最悪の場合失明に至ることもあります。

手足の感覚異常や痛み

糖尿病神経障害により、手足にしびれや痛みが現れます。

しばしば手足の先にピリピリやジンジンとした感覚が生じ、感覚が鈍くなることで、まるで足の裏に何かが敷いてあるかのような感覚になることもあります。

これにより、痛みを感じにくくなる場合もあります。

立ちくらみ

自律神経の障害により、立ちくらみが起こりやすくなることがあります。

これに加えて、便秘や下痢、異常な発汗などの自律神経障害の症状も現れることがあります。

浮腫

糖尿病性腎症の進行により、腎機能が低下して水分の排出が滞り、手足や顔などに浮腫が現れることがあります。

免疫力の低下

高血糖状態では免疫力が低下し、傷の治りが遅くなったり、感染症にかかりやすくなったりします。

神経障害による感覚の鈍化が加わると、傷があっても気づかず、重症化して足の壊疽(えそ)などを引き起こすこともあります。

これらの症状が見られれば、合併症が進行している可能性が十分にあります。すぐに病院を受診するようにしてください。

 

3.糖尿病の初期症状は治る?

糖尿病の初期症状が現れた段階では、完治することが難しいです。ですが早めに病院を受診することで、早期の血糖管理・食事療法・運動療法などにより、病状の悪化や合併症の発生を防ぐことは可能です。

先ほどご紹介したような、以下のような初期症状が出た場合は、一度病院を受診するようにしてください。

  • 喉が渇き、頻繁に水を飲む
  • 尿の量が増加する
  • 食べているのに体重が減少する
  • 疲労感が増す

早期発見と早期治療により、糖尿病の悪化を防ぎましょう。

3-1.糖尿病の自覚症状が出たら手遅れ?

自覚症状が出始めた段階で、既に血糖値は高い状態にあり、病気は進行していることを意味します。ですが、自覚症状が出たらもう手遅れというわけでは決してありません。

自覚症状を無視して病状を放置すれば、糖尿病性神経障害・糖尿病網膜症・糖尿病腎症などの3大合併症や、心筋梗塞など生命に危険を及ぼす疾患のリスクが高まるためです。

早期に治療を開始し、血糖値を適切にコントロールすることで、これらの合併症のリスクを大幅に減らすことが可能です。したがって、自覚症状が認められた場合は、直ちに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

 

4.糖尿病を早めに発見する方法はある?

糖尿病をなるべく早めに発見する方法として、以下4つのセルフチェック方法をご紹介します。

  • 健康診断の結果を見る
  • 検査キットを使用する
  • 女性は糖尿病チェックをしてみる
  • 足のチェックをしてみる

4-1.健康診断の結果を見る

最も早く判糖尿病の判断をできるのが、定期的な健康診断です。健康診断でチェックされる「血糖値」と「HbA1c」は、糖尿病に直接関連しています。これらについて簡潔に解説します。

4-1-1.血糖値

健康診断による血糖値は、血液中のブドウ糖濃度を表し、通常は空腹時血糖(最後の食事から10時間以上経過した状態での血液検査)を測定します。

分類

空腹時血糖(空腹時の診断基準)

正常

100mg/dl未満

予備軍

110-125mg/dl

糖尿病

126mg/dl以上

また、食後血糖の場合の数値についてもご紹介します。

分類

食後血糖

正常

140mg/dl未満

予備軍

140-199mg/dl

糖尿病

200mg/dl以上

空腹時血糖が正常範囲内でも、食後血糖値が異常に高い場合があります。これは「隠れ糖尿病」と呼ばれ、見落とされがちです。

隠れ糖尿病をを見つけるためには、「75g経口ブドウ糖負荷試験」が必要になります。この試験は、空腹状態の血糖値を測定した後、75gのブドウ糖溶液を摂取し、その後30分、1時間、2時間を経過後の血糖値を測定します。75g経口ブドウ糖負荷試験により、正常型・予備軍型・糖尿病型のいずれかを診断できます。

4-1-2.HbA1c

HbA1cは、過去1〜2ヶ月間の平均血糖値を反映する指標です。以下はHbA1cの一般的な基準値です。

分類

HbA1c

正常

5.6%未満

予備軍

5.6%〜6.4%

糖尿病

6.5%以上

また、肥満は糖尿病発症のリスクを高めるため、BMIや腹囲が基準を超えている場合は特に注意が必要です。

さらに、血糖値が160〜180mg/dLを超えると、尿中に糖が排出され始めるとされています。尿検査で尿中の糖が陽性であれば、糖尿病の可能性があります。

糖尿病は早期発見、早期治療が重要です。定期的に健康診断を受け、体の状態を正確に把握しましょう。

4-2.検査キットを使用する

医療機関に行かずとも、ドラッグストアやオンラインで入手可能な検査キットで自宅で糖尿病をチェックできます。これには、尿検査薬や血糖測定器が含まれ、多くは指先からの血液サンプルを用いておこないます。

検査キットにより糖尿病の可能性があると指摘されたら、正確な診断のために医療機関を受診してください。

4-3.女性は糖尿病チェックをしてみる

女性はエストロゲンの影響で糖尿病になりにくいとされていますが、閉経後のエストロゲン減少によりリスクが高まります。更年期以降の女性は特に注意が必要ですが、若い女性も生活習慣の乱れによりリスクがあります。

「妊娠糖尿病」も注意が必要で、妊娠中の血糖管理が赤ちゃんにも影響します。MSD製薬が提供する女性向けの糖尿病チェックシート(外部リンク)を利用して、必要であれば医療機関を受診しましょう。

4-4.足のチェックをしてみる

糖尿病性神経障害は足の感覚を鈍くし、水虫やタコ、ウオノメなどのトラブルに気付きにくくします。これらを放置すると、最悪の場合足の切断が必要になることも。

毎日の足の確認で早期に問題を発見し、治療することが合併症を防ぐ鍵です。日本糖尿病対策推進会議が提供する足のチェックシート(外部リンク)を使って、定期的に自己チェックを行いましょう。

 

5.糖尿病かもと思ったら…に関連するよくある質問

ここからは、「糖尿病かも…」と思ったときによく疑問として上がるものについて、質問と回答の形式でお答えしていきます。

5-1.糖尿病かと思ったらどうすればいいですか?

糖尿病を疑ったら、できるだけ早く医療機関で診察を受けてください。症状や健康診断で異常が見られた場合は、内科や糖尿病内科を受診し、血糖値やHbA1cの検査を受けましょう。

浅草橋西口クリニックMoでは、糖尿病に関するご相談をいつでも受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

5-2.糖尿病かどうか自分でチェックする方法はありますか?

自分で糖尿病をチェックする方法としては、ドラッグストアやオンラインで購入できる血糖測定器や尿検査キットがあります。しかし、これらは予備的なチェックであり、正確な診断のためには医療機関での検査が必要です。

5-3.糖尿病の初期症状を教えてください。

糖尿病の初期症状には、以下のようなものがあります。

  • 異常な喉の渇き
  • 頻繁な水分摂取
  • 尿の量増加
  • 体重の減少
  • 疲労感

これらの症状が現れた場合はすでに高血糖の可能性があり、医療機関への受診が推奨されます。

5-4.糖尿病の自覚症状が出たらもう手遅れですか?

糖尿病の自覚症状が出た時点で手遅れというわけではありません。糖尿病は、早期発見・早期治療が非常に重要なためです。

症状が見られたら直ちに医療機関を受診し、適切な治療を開始することで、合併症のリスクを減らし、病状の悪化を遅らせることができます。

5-5.糖尿病を放置するリスクを教えてください。

糖尿病を放置すると、目(糖尿病性網膜症)、腎臓(糖尿病性腎症)、神経(糖尿病性神経障害)などの合併症が進行しやすくなります。これらは視力喪失、慢性腎不全、感覚障害や壊疽につながることもあり、生命に関わる重大な健康問題に発展するリスクがあります。

そのため、早期に治療を開始し血糖のコントロールをおこなうことで、これらのリスクを大きく減らすことが可能です。

 

6.まとめ

糖尿病かもと思ったら、必ず医療機関を受診するようにしてください。糖尿病が疑われる場合は、内科・糖尿病内科・外科・眼科・泌尿器科などで検査を受けましょう。

糖尿病の自覚症状があるまま放置してしまうと、合併症が進行するリスクがあります。そうなる前に早めに治療を開始し、症状の悪化を防ぐことが大切です。

浅草橋西口クリニックMoでは、糖尿病に関するご相談を随時受け付けております。糖尿病でお悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。

このコラムの監修者

頴川博芸 エガワ ヒロキ

浅草橋西口クリニックMo

【経歴】
2016年 東海大学医学部医学科 卒業
2016年 順天堂大学医学部附属静岡病院 臨床研修医室
2017年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 入学
2018年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器・低侵襲外科
2021年 順天堂大学大学院医学研究科医学専攻(博士課程) 修了
2021年 越谷市立病院 外科
2022年 順天堂大学医学部附属練馬病院 総合外科・消化器外科
2023年 順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科
2024年 浅草橋西口クリニックMo院長就任

【資格・所属学会】
日本専門医機構認定 外科専門医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
日本旅行医学会 認定医
東京都認知症サポート医
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本温泉気候物理医学会
日本腹部救急医学会
日本大腸肛門病学会
順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科 非常勤医師
難病指定医
小児慢性特定疾病指定医

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